室積 聴音探照所(聴音照射所・特設見張所)




2011.10.23 探索


右:国土地理院の航空写真(MCG626-C12-5)



航空写真(左:M114-43、右:MCG626-C13A-4、国土地理院)



航空写真を見ると、光市にある大城峠の北西に施設が鮮明に写っている。
兵舎敷地の一部がスカイラインの建設で削られてしまっているが、その他の遺構は比較的良く残っている。

Y勘さんが探してこられた(確か財務省関連の)資料内の「元徳山海軍警備隊岩屋照聴隊兵舎平面図」に、施設の少し南に第2揚水ポンプ所が描かれていることから、貯水池は南下にあると思われる。岩屋集落の東に現在も溜池があることから、この池が貯水池の可能性がある。





右:国土地理院の航空写真(MCG626-C12-5)、以下同



聴音機壕B〜平坦地A周辺

左:平坦地Aの東にある窪地、右:平坦地Aから聴音機壕を見上げる


左:聴音機壕Bを東下から、右:同左


左:聴音機壕Bの内部、右:南東側の出入口


左:聴音機基礎、右:基礎を囲むように円形のコンクリート基礎


左:聴音機壕Bを東上から、こちら側には縁に沿って溝が掘られている、右:同左


左:聴音機壕Bの内部斜面、右:聴音機壕Bの北下の大量のレンガ瓦礫、貯水槽の残骸?




南にある丘の頂上に聴音機壕Bが、そしてその南東下に平坦地Aがある。聴音機壕Bの南東側には、平坦地Aへの出入口が開いている。平坦地Aの用途は不明である。聴音機壕Bの大きさ、形状は他で見られるのと同様の直径約20mの擂鉢状地形であるが、中央にある聴音機基礎を囲むように、直径約5mのコンクリート製基礎がある。また北東側の縁に平行に、溝が掘ってある。
聴音機壕Bの北下に、レンガの瓦礫が大量にある。あった筈の生活用水槽が2基とも見つからない事から、何らかの理由で崩され、こうした瓦礫になっているのではないかと思われる。
聴音機壕Bの北東下には細いものの道らしきものが指揮所Dへと向かって伸びており、その脇に幾つかの窪地Cがある。

また写真は省いたが、平坦地Aの南東の尾根上に海軍の標柱が建っている。





指揮所Dの周辺

左:兵舎平坦地Gを見下ろす、右:同左


左:指揮所Dの西角、右:指揮所Dの東角


左:指揮所Dの東角にあるトイレ、右:指揮所Dの南西面


左:指揮所D内部、右:同左


左:指揮所D内部、右:屋上への出入口、塞がれている




聴音機Bと探照灯Eの間から、少し北西へずれた位置に指揮所Dがある。良く見られる指揮所であるが、内部は比較的良く残っている。天井へ抜ける穴が開けられている事から、屋上に探照灯の管制機があったものと思われるが、確認は出来ていない。西角の下に天水桶、東角の下にトイレがある。
北東面が切岸になっており、その上に探照灯Eがある。





探照灯Eの周辺

左:探照灯丘Eの西下の崩落した地下壕、右:探照灯窪地Eを西から


左:探照灯窪地Eを東から、右:同左を南下から


左:探照灯の北東にある円形窪地F(機銃座?)、右:探照灯丘Eの南下の崩落した地下壕


左:転々と続く蛸壺、右:別の蛸壺




北側の丘の頂上に探照灯の円形窪地Eがある。内径は計測し忘れていたが、目測で約3mくらいである。良く見られる内径5mのものよりも小さい為、本当に探照灯の穴なのかは自信が無い。ただこの周辺を探索してみても、他に大き目の円形窪地は見つからない為、ここに比定しておく。
探照灯の円形窪地Eの東隣の薮中に窪地がある。またその少し北東に少し小さめの円形窪地Fがある。大きさから機銃座かと思われる。

探照灯のある丘の北西下と南西下にそれぞれ崩落した地下壕がある。もしかしたらこの丘の地下に直流発電機室があるかもしれない。丘の西下には3ヶ所ほど小さな穴が並んでいる。小松町特設見張所を探索した際に同様なものがあるのを、案内して下さったSさんが聞き取りから「蛸壺」であるとされていた。個人的には70年も前の穴がこれだけ明確な形状を残しているとは思えず、後になって地下道の上に出来た崩落穴ではないかとも思っていたのだが、ほぼ等間隔で開いている事から、意図的に開けられたものである可能性が高く、そうなると、矢張り蛸壺なのかと。





兵舎平坦地G〜発電所関連

左:兵舎平坦地Gの北側、右:南側


左:兵舎平坦地Gの更に南側、右:兵舎平坦地Gの南端にある窪地


左:油脂庫H、右:同左アップ


左:油脂庫Hを北から、右:発電所付近を


左:発電機平坦地Iを北上から、右:発電機平坦地Iと油脂庫H


左:発電機平坦地にあるコンクリート構造物、右:発電機平坦地Iの南西上の尾根にある標柱




スカイラインの東側に兵舎平坦地Gが、西下に発電所Iがある。
兵舎平坦地は航空写真を見ると、もう少し広かったようであるが、スカイライン造成の際に一部削られてしまったようである。また航空写真の平坦地の南東角も、現在は残っていない。土砂崩れなどで埋まってしまったのだろうか(見つからない2基の生活用貯水槽はこの際に一緒に崩落?)。
東の切岸に崩落した地下壕ののうな窪みがある。また南端には用途不明の窪地がある。

スカイラインのすぐ下に辛うじて、油脂庫Hが残る。油脂庫Hの南西下に発電所平坦地Iがある。航空写真を見ると、この平坦地内に二連式の発電機冷却用水槽が見られるが、現在は破壊されたのか、それとも薮に埋もれているのか、確認できなかった。ただ発電所でよく見られる立方体のコンクリート構造物が転がり、またその近くにコンクリート基礎のようなものが切られた竹の下に埋もれていた。

発電所平坦地Iの南西上の尾根に、海軍の標柱が建っている。





日付 呉および徳山警備隊戦時日誌と引渡目録による記事
昭和16年11月 聴測照射所、第六砲台群、工事中
昭和16年12月 聴測照射所 工事中
官機第11482号(S16.12.5)
昭和17年1月 聴測照射所 工事中
昭和17年3月 特設見張所 既設
昭和17年8月 特設見張所(丁)既設
96式150cm探照灯1型陸用及管制器2型陸用1
仮称ヱ式空中聴音装置1
12cm高角双眼望遠鏡1
ディーゼル発電機 未着未装備
昭和17年9月 特設見張所(聴測所)、丁乙工事中
昭和18年1月 聴測所(丁) 徳山支隊
昭和19年6月 既設照聴所
昭和19年7月 既設照聴所
昭和19年8月 既設照聴所
昭和19年9月 既設照聴所
昭和19年10月 既設照聴所、150cm探照灯1、空中聴測装置1
士官、准士官1、下士官兵27
昭和19年11月 150cm探照灯1基
昭和19年12月 150cm探照灯1基
昭和20年3月 13mm機銃 1丁 3月末据付完了
昭和20年4月 13mm単1門 現装
昭和20年5月 150cm探照灯1 既設
13mm単1門 既設
昭和20年8月31日 引渡:
96式150cm探照灯(100V) 1基
仮称ヱ式空中聴測装置 1基
ディーゼル交流発電機陸上用40KVA三相 配電盤付 1基

用地、19931m2
兵舎他、木造5棟、329m2
指揮所他、レンガ造2棟、86m2

用地:19931m2、建物:436m2



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