板城村 聴音探照所(特設見張所)


板城村 聴音探照所(特設見張所)(2007.1.28)




米軍の空中写真(M691-32、国土地理院)


全体図


東広島市の板城小学校のすぐ西脇に、板城村聴音探照所がある。龍王山から北東へ伸びる尾根上に点在しており、289mピーク付近に探照灯や聴音機の施設が、それよりも北東下へ下った辺りに兵舎関連の施設、そして東麓には揚水所がある。




兵舎付近





左:遺構A、右:兵舎関連の平坦地



左:水槽Bの東下の平坦地、右:水槽B



左:Cの基礎と流し台?、右:同左の流し台?



左:Cのトイレその1、右:Cのトイレその2



左:Cの東隅の水槽、右:同左



左:Dの東側の基礎、右:水槽E



左:水槽F、右:水槽Fの北側の面



左:水槽Fを上から、右:水槽Fを更に上から



左:水槽もしくは基礎G、右:同左



左:水槽もしくは基礎Gの南西隅、右:兵舎平坦地から上に向かう軍道の跡らしきもの




広く造られた平坦地に、兵舎関連の遺構が残っている。ただレンガを取る為に崩されたようで、まともに残っている物は余り無い。
遺構Aは何か良くわからない。水槽Bと、Cの東隅の水槽も用途不明。風呂とか天水桶とかか。Cの北東側と北西側にはトイレらしき溝がある。またCの南西側には、建物の基礎らしきものの上に流し台のような構造がのっかっている。
D付近にもコンクリート構造物が散乱しているが余りはっきりと判らない。平坦地の西隅にも水槽が埋まっているが、こちらも用途不明。
平坦地から南西に伸びる尾根の斜面上に、水槽Fと水槽もしくは基礎Gが並んでいる。水槽Fは二重式で、恐らく生活用水の水槽かと思われる。Gは破壊が酷く、元々水槽だったのか建物の基礎だったのか不明である。Gの南西側は斜面を切欠いている。

設備を見ると発電所もあるはずなのだが、発電機の冷却用の大型の2重水槽が見当たらない。もしかしたら見落としているのかもしれない。





聴音機・探照灯付近




左:円形窪地H、右:同左



左:円形窪地H、右:Hの中央にある基礎



左:指揮所跡Iの西側の切岸、右:指揮所の残骸



左:Iを西上から、右:円形台座J



左:円形台座Jの東側の階段、右:円形台座J



左:円形台座Jの上面、右:円形石垣K



左:円形石垣K、右:円形石垣Kの内部、正面に西側の開口部



左:東側の開口部、右:円形石垣Kの中央部



左:Kの西下の切岸、右:西端からK方向を望む



< 左:北側は西条盆地、右:IからH方向を望む
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289mピークから西側の尾根上一帯に、聴音機と探照灯が配置されている。
ピーク上には直径10m程の円形窪地があり、中央部にコンクリート製の外径約60cmの基礎がある。ただアンカーボルトは付いておらず、中野村や戸田で見られる形状とも違っている。
ピークから少し下った辺りで遊歩道と合流し、少し登った辺りに指揮所跡Iがある。恐らく建材としてレンガを取って行ってしまった為に殆ど何も残っていない。指揮所が建っていたのではないかと推測される。
Iの西上には直径2m程の石垣で造られた円形台座Jがある。上部は木や土で埋もれてしまい、基礎があるかどうかは判らなかった。探照灯の管制器もしくは機銃の銃座かと思われる。
Jの西には内径約5mの円形石垣Kがある。西と東に開口部が造られている。ここも木や土で埋もれて基礎は確認できなかった。Kの西下には平坦地もしくは窪地のような人工的な地形があるが、何かは良くわからない。

中野村の碍子破片を探照灯の物と仮定するならば、東側の大きな円形窪地Hが聴音機、西側の円形石垣Iが探照灯になるかと思われる。ただ、水槽もしくは基礎Gが発電所だった場合、発電機の近くに聴音機は置かない為、逆になることもありえる。決定的な資料がどこかに無いだろうか。





麓の揚水所


左:東麓にある揚水所の井戸とポンプ小屋、右:ポンプ小屋



左:埋もれてしまった水槽、右:揚水所脇から東側、奥の電柱の手前を左に入る


東麓には、山頂の施設へ水をくみ上げる揚水所の井戸とポンプ小屋が残っている。YさんとVさんの聞き取り調査での地元の方の話によると、井戸は道路建設の再に南側の今の位置に移動したが、小屋は当時のままだそうである。





日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和17年2月 聴音照射所 調査中
昭和17年3月 特設見張所 将来要望
昭和17年8月 特設見張所(丁)工事施工内報済
仮称ヱ式空中聴測装置1、150cm探照灯(管)1
12cm望遠鏡3、7倍稜鏡4
電源装置1、通信装置1
予定内報施本機密第13033号(17.2.4)
電気及工学兵器装備の訓令官房機密第8038号(17.6.27)
施設工事施工内報呉建機密第21号ノ608(17.8.27)
訓令資料提出呉鎮機密第60号ノ1326(17.7.8)
施工内報に依る竣工予定(17.3.31)
工事中
昭和17年9月 特設見張所(照聴所)、丁乙、工事中
昭和17年11月 照聴所工事中
昭和17年12月 照聴所工事中
昭和18年1月 照聴所工事中
照聴所(丁)(第2砲台群)工事中
昭和18年2月 照聴所工事中
昭和18年3月 照聴所工事中
昭和18年4月 照聴所工事中
昭和18年5月 照聴所工事中
昭和18年6月 照聴所工事中
昭和18年7月 官房艦機密3560号(18.7.15)、電気及工学兵器装備工事完成期変更の件通知接受す
昭和18年8月 施本機密第2968号(18.8.4)、
板城村その他特設見張所(丁)施設工事要領変更内報の件接受
昭和18年9月 施本機密工第1559号(18.8.14)
板城村その他特設見張所(丁)施設工事要領変更の件通牒
官房機密第4656号(18.9.11)造兵工事完成期変更の件通知、電気及光学兵器装備工事の件
変更完成期(18.8.31)
昭和18年10月 照聴所工事中
昭和18年11月 照聴所工事中
官房設機密第2874号(18.11.5)工事要領変更訓令、
鹿島その他特設見張所(丁)施設外一廉工事要領変更の件訓令
昭和19年3月 官房機密第10508号の訓令により工事中の照聴所完成
昭和19年6月 既設照聴所
昭和19年7月 既設照聴所
昭和19年8月 既設照聴所
昭和19年9月 既設照聴所
昭和19年10月 既設照聴所、150cm探照灯1、空中聴測装置1
昭和19年11月 150cm探照灯1、空中聴測装置1 完備
昭和19年12月 150cm探照灯1、空中聴測装置1 完備
昭和20年1月 150cm探照灯1、空中聴測装置1 完備
昭和20年2月 150cm探照灯1、空中聴測装置1 完備
昭和20年8月31日 引渡:
96式150cm探照灯及び同管制器、付属品補用品共、電動直流発電機 1基
仮称ヱ式空中聴測装置、付属品補用品共 1基
ディーゼル交流発電機陸上用40KVA220V三相60KVA配付 1基
建築物 兵舎1、其ノ他付属施設3

用地:9917m2、建物:385m2



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