砲台山 応急防空高角砲台(大室山砲台、大空山)





砲台山 応急防空高角砲台(2006.4.18、2006.6.4再探索)


右:米軍の航空写真(昭和20年4月の偵察写真)



米軍の航空写真(M283-143、国土地理院)



広の北西にある大空山の山頂に、明治期要塞の大室山砲台がある。そしてその敷地の一部を使って応急防空高角砲台が築かれた。戦後すぐに埋め立てられて畑になってしまった為に殆ど何も残っていない。それを知らずに2度も山の中を彷徨ってしまい酷い目にあった。

米軍の偵察写真を見ると、大室山砲台の観測所の南東側の尾根上に、6基の砲座と付属する円形窪地が幾つか開いている。終戦翌年の航空写真では、南東端の砲座以外は埋められている。またその東側に何らかの施設らしきものが写っているが、何なのかは不明である。
また山の東南麓にも何らかの施設らしきものが写っている。探照灯でも置かれていたのかと思ったが、引渡目録には聴音機も探照灯も無い。電波探信儀が仮に砲台山のものだったとしても、こんな低い場所に配置はしないだろう。





日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和19年11月 呉鎮命令第425号に依り工事中(訓令あり次第砲装備)
昭和19年12月 工事中 呉鎮命令第425号
昭和20年1月 新配備 88式7.5cm野戦高射砲6門 応急高角砲台
応急砲台(7cm)完備
昭和20年2月 応急砲台(7cm)完備
昭和20年8月31日 引渡:
7.5cm野戦高射砲6門
90式航速測定器 1組
97式2m高角測距儀付属品補用品共 1組
96式管制器 1組 (仮設)
仮称4号3型改一電波探信儀(L2) 未装1(野呂山とあるのを後書きで修正)

建物:350m2
用地:145848m2、建物:175m2(大空山堡塁)







大室山砲台(2006.4.18)





左:砲座正面、右:砲座



左:砲座、右:砲座の北側にある小隊長位置その1



左:小隊長位置その2、右:砲側庫



左:砲側庫内部、右:観測所下



左:観測所脇の砲台長位置、右:観測所、中央部は埋められている



左:展望台からの全景、右:砲座南の胸墻から展望台を望む



左:駐車場脇にある井戸、右:道路脇の火薬庫?



兵舎のあった場所、現在は大空山青年の家



明治期、大空山に28cm榴弾砲4門の大室山砲台が築かれた。しかし砲の不足から実際に備砲は行われなかった。しかも当初は側面防御の為に15cm臼砲の装備も考えられていたらしいのだが、これすら途中で省かれてしまった。

戦時中には海軍の応急防空砲台として88式7cm高射砲6門が配備された。

現在は大空山公園として整備されている。幾つかの施設が破壊されてはいるものの、全体としての保存状態は良いようだ。





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