衣笠 防空高角砲台



左:米軍航空写真M46-A-7-2-128(国土地理院)、右:M46-A-7-2-129(国土地理院)




左:米軍航空写真M46-A-7-2-151(国土地理院)、南西側、右:M46-A-7-2-150(国土地理院)、南東側




左:全体図、右:砲座周辺


左:南西側の聴測所、右:南東側の聴測所


航空写真を見ると衣笠山の西、横須賀PAの東側の山に砲座が3基確認できる。砲座の西側には兵舎らしき平坦地が2ヶ所、また砲座の南東と北東にも施設らしきものが写っている。また砲座の北西側の山の上にも、何らかの施設らしきものが写っている。戦時日誌に出てくる衣笠の電探実験施設かもしれない。
そして自衛隊長坂射撃場の北東にあるダムの更に北東の尾根上、砲座からは南西に1kmの位置と、三浦縦貫道路の衣笠太田和トンネルの真上、こちらは砲座から南南東に1kmの位置とに、それぞれ聴測所らしき施設が写っている。東側の聴測所は良く見られる兵舎と探照灯と聴音機が直角三角形に並んでいるものであるが、西側のものは写真からではいまいち良く判らない。呉の大平山防空砲台と同じ時期の砲台であり、大平山の聴測所のように移動式の探照灯を格納する珍しい形式のものかもしれない。

砲座周辺の建物の破壊はされているものの、ほぼ手付かずの形で残っているそうである。また地図をみるに、2ヶ所の聴測所も遺構が残っている可能性が高い。

首都圏でこれだけの施設がほぼ丸々残っているというのは、大変に珍しい事であり、何とかしてこの貴重な遺構を調査・保存してもらえないものかと思う。




日付 横須賀海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和16年11月 昭和15年 官房機密6287号
12.7cm連装高角砲3基、96式150cm探照灯2
サ式4.5m高角測距儀1、ステレオ式2m測距儀1
完備は探照灯のみ
下士官20、兵76
昭和16年12月 武山に配備予定の8cm高角砲4門を仮設置、12/18完了
昭和17年1月 武山の8cm高角砲4門を変更
聴音機2基、工事3月末予定
昭和17年2月 ヱ式聴音機2基、96式連動装置、2/15完了
高射器未装備、3月末予定
昭和17年3月 高射器未装備、武山の8cm高角砲を仮装備
工事中
昭和17年5月 工事中
昭和17年6月 S16.12.18砲配備
昭和17年8月 12.7cm連装高角砲2基完備、付属品要具は未着
昭和17年12月 高射器未装
昭和18年8月 施設一覧:12.7cm連装高角砲2基
昭和19年11月 12.7cm連装高角砲2基
昭和20年8月 引渡:
12.7cm連装高角砲2基、弾543発、95式陸用高射器1
ステレオ式4.5m高角測距儀1
96式150cm探照灯2、25mm連装機銃2基



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