ムサシの前脚

成長期における骨端性早期閉鎖症(尺骨成長板早期閉鎖症)

 

 2001年2月

座った状態

4才3ヶ月。

ムサシは両前脚が肩から足首にかけて彎曲している。足首の関節は前に飛びだし、関節から下が外を向き今にも折れてしまいそう‥‥ 特に利き足の右脚がひどく、足首の高さが右と左ではずいぶん違う。関節から曲がっているため前の体高と後の体高に違いが出てきている。

小さい頃はよく友だちと追いかけごっこをしたが、最近ではめったなことでは、走らない。その分、散歩を十分させている。痛くないのかしらと思うのだが、痛みがあるようには見えない。ただお座りをさせると、たえず前脚を動かして位置を直す。

ムサシの前脚が曲っていることに気付いたのは1才頃。気になり、獣医さんに連れて行ったが、レントゲンは撮らず(後で分かったのだが、レントゲンの設備がなかった)、簡単に触診し、様子を見て下さいと言われた。しばらく様子を見たが、悪くなっているような気がしたのでまた行った。だが同じく様子を見るようにいわれたので、獣医さんを変えてみた。しかしここにもレントゲンがないようで、やはり触診だけで、様子を見るように言われた。その後しばらくして、彎曲がさらにひどくなっているようなので、また別の獣医さんに診てもらった。こんどはレントゲンをとって診断。だが結果は最悪。すでに前脚が肩から彎曲しているため、骨の彎曲を直す手術は不可能だろう、大学病院に行っても難しいのでは、と言われた。

今できることは?獣医さんに尋ねても、特にないとのこと。ただ、筋力が落ちないように適度に運動や散歩をさせること、そして体重を増やさないことが必要だと言われた。彎曲がさらに進み、歩く時パッドではなく皮膚が地面に当たるようになると、傷ができ、その傷が癒えることなく悪化するので、その時は、脚を保護するソックスのようなものが必要なるだろうとのこと。

体重を増やさないためにフードをカロリーの低いものに変え、しかも量を減らした。そのためムサシはいつも空腹。食べ物を見る目が違う。空がフードを残すのを狙い、食べようとするが、いつもママからストップがかかる。余談だが、いつも空腹のためフードでしつけるのはとても簡単。そのかわりフードがないと何もしない。(笑)

こうなった原因が何なのか分からない。カルシウム不足、成長板への過度の衝撃などが考えられるが特定はできないそうだ。1才までは外犬だったので、日光不足は考えられない。骨の成長がなんらかの原因で止まってしまったそうだ。

現在のムサシは元気だ。歩くのは好き、ドッグランでは時折走ったりもする。でもこういう姿がいつまで見られるのか、先のことを考えると心が痛む。

右足が完全に外を向いている。

足首からねじれている。


  2001年11月 

11月15日 とうとう朝の散歩の途中からムサシがびっこを引きだした。右前脚の足首が前に曲がり過ぎ、痛みが出てきたようだ。とうとう来るべき時が来たのだろうか。右脚をかばうように肩と首が上下し歩きにくそう。帰宅後ケージで休むうちに痛みが軽くなったようなので、夕方散歩の代わりにドッグランに連れて行った。来てしまうとやはりびっこを引きながらマーキングして回る。どうしようもないことは分かっているのだが、明日獣医さんに連れて行こう。

11月16日 ムサシを掛かりつけの獣医さんに連れて行った。足首の関節の一端に体重がかかり、支えきれずに炎症を起こしているそうだ。今のところ痛みを軽減する対症療法しかない。骨の一部を切り取ってつなぐ骨切り術をしてくれるところがあるかもしれないが、人間の場合、骨がつくには3ヶ月近くかかる。犬の場合はどのくらいかかるのだろうか。とりあえず関節炎に効くリマダイルが10日分処方され、様子を見ることになった。

11月18日 リマダイルが効いているようだ。びっこを引かずに歩く。ただ距離が長くなると歩き方が少しおかしくなる。朝の散歩は洞峰公園半周。午後はドッグラン。きょうは友達わんこがたくさんいたので、嬉しかったのだろうか走る。大丈夫だろうか。

11月20日 リマダイルは痛みに非常に効果があった。ムサシの歩き方は普通になったが、脚の形状は変わらないので、長期的な治療が必要だ。グルコサミンというサプリメントを知り合いから教えてもらったので、明日、獣医さんと相談しよう。

11月22日 グルコサミン300を獣医さんから購入。グルコサミン、コンドロイチン、カテキンが主成分のこのサプリメント、即効性は期待できないが、長期に服用することで、ムサシの足首関節の軟骨の修復に効果があるといいな。

 

  2001年12月

  

12月30日

寒い日が続いているが、脚の痛みは再発せず、普通に歩いている。グルコサミン300が効いているようだ。
これで一安心。

  2002年2月

2月20日

このページを見たこじろう君(クリックしてHPへ)の飼い主さん、りえさんからメールをいただいた。こじろう君は生後9ヶ月、脚がムサシのように曲がっているとのこと。成長期なら治療の可能性があるかもしれないと思い、できるだけ早い時期に動物病院で診察を受けることを薦めた。
その後りえさんから連絡があり、診察の結果手術をすることになった。こじろう君はまだ成長期なので尺骨を切り繋がるのを待つことに。

こじろう君は1才前の成長期。ムサシは5才になってしまったが、もしかしたら今では手術の道もあるかもしれないと思い、麻布獣医大の診察を受けることにし、かかりつけの獣医さんに予約を取ってもらった。患犬が多く、4月12日にやっと予約が取れた。

  2002年4月

4月12日(金)

待ちに待ったこの日、ムサシを連れて相模原の麻布獣医大へ診察に行った。早朝6時に家を出たのだが、東名横浜から16号に出ると渋滞の時間に掛かり、9時ぎりぎりに到着。病院の待合室にはすでに10組ほどの患者(犬)さんが待っている。診察券代わりに紙に名前を書き受付ボックスに入れ、受付が開くまで待つ。初診手続きをして待つことおよそ30分で診察室に呼ばれた。まず若い先生が問診と触診後、診察をお願いしていたK先生が来られる。触診後、レントゲンを撮るためにムサシはレントゲン室へ連れていかれる。助手の若い先生方の犬の扱い方がとても温かみがある。しばらく待った後、レントゲン写真を見ながらK先生から説明を受ける。

ムサシの脚の病名は右尺骨遠位成長板早期閉鎖症。その結果、右撓骨(太い方の骨)が50度外側に向きしかも40度外側に捻った状態に変形しており、右の手根関節(足首)は曲げられる角度が30度しかなく、しかも炎症を起こしている。

足首の炎症を完全になくすには、足首に掛かる負担を取り除けばいいのだが、そのためには脚の彎曲をまっすぐに繋ぎなおす外科的手術を行う。撓骨を幾つかに切って一期的に繋ぐ方法(これには骨プレートを埋め込み繋ぐ方法と外から固定する創外固定の2つがある。)そして徐々に変形を戻すイリザロフ法(切った骨に装置を付け、外側から角度を少しずつ変えていき真直ぐに戻すのだが、時間が掛かり、成功率は現在70%から80%で、骨が付かない可能性もある。)の2つがある。ムサシの骨の変形が複雑なので骨プレート埋め込みは不可。創外固定、またはイリザロフ法を採用できるかどうか、骨の切断角度などを詳細に検討してから電話を2週間以内にくださるということで、診察が終わった。

 

 2002年6月

6月28日(金)

4月の診察以来、2ヶ月半以上が経ってしまった。
2週間後までには電話をいただけると思っていたのだが先生からは連絡がない。毎日ちょこちょこと出掛けていたので、留守中に電話をいただいたのだろうか。こちらから電話しなくっちゃ!と毎日思いつつ。。。いつの間にかこんなに時間が経ってしまった。。。きょうは絶対電話をしようと決心して電話をする。
K先生のお話では、骨の彎曲が大きすぎ複雑に切断しなければならないので手術はしない方がいいということに。どうしてもと言うのであればできないことはないが、切断後必ず骨が付くかどうか、また真直ぐになるかどうか保証できないので、元気に歩いているなら今のままの方がムサシ君は幸せでしょう、痛みが酷くなり歩けなくなった時にまた手術の可能性について検討しましょうということになった。骨が付いたとしても付くまでに3ヶ月から6ヶ月もの間ケージレストで動けない、最悪の場合ずっと入院、なんてことを考えると、きっとムサシも今のままの方がいいに違いない。
適度な散歩と体重の維持についてアドバイスをいただき、経過を診るために半年に一度診察を受けることになった。次回の診察は10月。

2002年11月8日(金) 半年に1度の診察に麻布獣医大に行く。レントゲンを撮り、写真を見ながら説明を受ける。ムサシの足首関節は特に悪化していないので、このまま観察を続ける。これから寒くなるので足首に痛みが 出た場合を想定して、判断の仕方を教えていただいた。診察は半年後。ということでとりあえず、良かった〜〜(^ ^)

2003年4月11日(金) 半年に1度の診察に麻布獣医大に行く。診察はいつも通りまずレントゲン撮影。その後写真を見ながら説明を受ける。ムサシの体重は13kgに減少したため、足首に炎症がなくなり、このまま様子を見ることになる。体重を維持することで次回の診察は1年後。良かったね、ムサシ♪  6300円