赤岩青巌峡と道路工事について(第3報)

 7月26日午後1時から占冠村役場にて、道路工事に係る赤岩青巌峡の岩の
取り扱いに関する話し合いがありましたのでその概要を報告します。

日 時:平成8年7月26日(金) 13時〜
場 所:占冠村役場
参加者:占冠村役場 宮田助役、大和建設課長、林務係長、 他1名
    旭川土現 富良野出張所:植松所長、白畑道路第2係長、高木技師
    金山営林署 業務課長、森林活用係長、治山係長
    クライマー 松本一敏(北海道FCN代表世話役)、竹内正信( 〃
          総務担当世話役)、佐藤範育、角直剛、Satomi Hori

 話し合いは宮田助役と植松所長の挨拶で始まり、工事概要の説明や各組織の
基本的な考え方、今後に向けての意見交換など、約2時間に及びました。

★占冠村(地元自治体・村立自然公園の設置者)の基本的な考え方
 一時期、ゴミが問題になったこともあるが、近年はきれいにされている。ニ
 ニウの風呂も使ってもらっているようだ。村としても、昨年、国際環境会議
 を開催したし、環境に対しては前向きの姿勢を持っており、自然環境を大事
 にしたい。最終的にお互いに「よかった」という結果にしたい。岩について
 は、住民としても残せるものなら残したいという気持ちはあるが、道路の安
 全性を犠牲にしてまで岩を残すことはできない。
★旭川土木現業所富良野出張所(道路施工者)の基本的な考え方
 当該地域は地すべり地帯であり、道路の基本的な線形は選択の余地が少ない。
 岩については、景勝地ということもあるので、安全性を損なわないように対
 策工を施すなどして極力残していきたいと考えている。岩の取り扱いについ
 ては今後、クライマーや村などと情報交換をしていきたい。
★金山営林署(岩の管理者(所有者?))の基本的な考え方
 管理者としては怪我や事故等を一番心配している。岩については、景観保持
 の点からも、将来的には(用地を含めて)村などに買い取ってもらいたいと
 考えている。
★クライマー側の基本的な考え方
 全国的にも貴重な岩場であるので、基本的には登っている岩は全て残しても
 らいたい。また、できればクライマーの駐車場やトイレの整備、観光客がク
 ライミングを観たりして楽しめるような整備をしていって欲しい。また、工
 事中のクライミングについても配慮して欲しい。

旭川土現・富良野出張所からは質疑も交えた事業説明があった
(1) 今年から橋台(占冠村側)の掘削工事に着手した。
(2) トンネルについても、平成9年から掘削に着手する。
(3) 橋の形式や色等については今年、村の議員協議会に図って承認を得た。
(4) クライミングエリアを通る部分については、河川協議(道路計画者と河川
  管理者の間で行われる、河川に係る部分の道路構造や位置等に関する協議)
  も終了しており、また、河川にとって必要な断面を犯せないので、これ以
  上、川側に寄せることはできない。
(5) 今後の工事スケジュールについては、岩の取り扱いによって施工順等が変
  わりうるので、現時点でははっきりしていないが、平成14年度中には村
  道の工事を完成させる計画である。
(6) ネギ岩については根堀り線にはかからない(=直接的には工事の影響はな
  い)(*前号では根堀り線にかかると報告したが、それは間違いだったよ
  うである)。

岩の取り扱いに関する具体的な計画については
 転倒、崩壊、地すべりの3つによる道路への影響が心配されるので、平成8
年中に斜めボーリング等の調査を行う。調査の詳細も現在検討中である。
 道路と岩の位置関係については、今年、詳細な横断図を作成するので、その
後にはっきりする。
 この横断図や岩の基礎部分の調査結果を受けて、岩の取り扱いを考えていく。

 なお、新しい橋は現在の赤岩橋より10m程度高い位置に架けられる計画で、
橋の幅は歩道部分も含めて13m。また、エリア内を通る村道は歩道なしで、
幅7.5mの道路となる。

その他の事項としては
 助役から、レク森でのキャンプについて、好ましくないという主旨の発言が
あった。又、事故などについては村も心配しているが、ニニウ近辺のスノーモ
ービルでは、村が林道を借りて愛好者に解放しているが「ニニウの会」という
会を作って事故防止に努めている。という話があった。
 富良野出張所からは、環境整備については地元中心で・・というような発言
があり、これに対しては、レク森も村が整備したが、村民がよく使っていたの
は最初の頃だけであったので・・という反応があった。
 クライマー側からは、国有林野で行われている登山と同じように、事故につ
いては基本的に利用者の責任として考える、と伝えた。また、横須賀の鷹取山
の例などで協議会をつくってクライミングを継続させている場合もあることを
紹介した。
 占冠村からは、今後、何か気がついた点等があったらニニウ自然の国のマネ
ージャーである後藤氏(サイクリングターミナルの受付にいる眼鏡・髭の方)
に伝えて欲しいという話があった。

 「日本フリークライミングルート図集」を渡し(助役が松友さんに代金を払
っていたので、売却か?)、本会の会報を進呈し、今後、岩の基礎部分の調査
や道路と岩との関係等が整理されてきた後に、それぞれの岩について、具体的
な話し合いを行うなど、情報交換を密に行っていくことを再度確認して話し合
いを終わった。また、工事中のクライミングについては、継続を強く要望した
が、施工計画等が詰まってきた段階で、駐車場やトイレの問題も含めてさらに
話し合いが必要であろう。

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