ご存知かと思いますが、台湾は今から10年ほど前まで戒厳令
下にありまして、今ほど自由ではありませんでした。九州と同
じほどの国土に3000m峰を200座も持つ恵まれた環境で
すから当然登山の愛好家も多く、「台湾山岳」と言う「山渓」
そっくりの雑誌もあります。どこの市にも山岳会があって毎月
たくさんの山行が計画されています。(実は台湾では、自由に
登山をすることが出来ません。場所にもよりますが、入山許可
やガイドが必要で、単独行等は処罰の対象です。)私は新竹市
の山岳会に入り情報を得ていましたが、まだまだ一般的なレジ
ャ−には程遠い感じがしました。
こんな訳ですから、岩登りとなるとさらに人口は減ります。は
っきりした数字は解りませんが、1000人以下ではないので
しょうか?有名な岩場は台北の陽明山と龍洞です。もちろん可
能性のある場所はいくらでもあるのですが、だいたいこのよう
な遊びをする人は台北に住む人なので結果的に台湾北部に限定
されるのでしょう。
陽明山には行く機会が無かったので、どんな所か解りません。
台北の登山用具店(台湾唯一のクライミング専門店)で知り合
ったクライマーの話では、それほど規模も大きくはなく、練習
用ゲレンデの様だとの事でした。
龍洞は正確には龍洞南口と言う岩場で有名な港町「基隆」の南
側に位置しています。
非常に良く侵食された花崗岩の崖が約1km続いています。
どういう分類にすればよいのか迷いますが、もう何でもあるの
です。フェース、前傾壁、クラック....高度も5mから6
0mまで様々。主要な崖の下には棚状に岩場が続くので、取り
付きも大変楽でした。私は午後に着いたのでクライマーには会
えず、一人だったのでロープも使えず、6−10m程の前傾壁
だけ攀じて来ました。
後で近所の大学の山岳部に行ってトポを貰いました。かなりの
数のル−トが作られていて、下は5.1?から5.13まで多
彩です。(5.1−5.5等と言うル−トがある事からして少
々胡散臭い!5.11や5.12に関してもどんなものか?と
にかく人口が少ないのとナショナリティ−と言うことで勘弁)
よほどタイミングが悪くてもこの規模では混むことはありえな
いし、出来れば2−3日腰を据えて楽しみたいところです。近
くにダイビングスポットがあって、台湾には珍しく近代的なビ
ジターセンターが出来ていて、シャワー等のサービスも便利で
す。
日本から3時間、航空運賃も安いと35000程、物価は安く
、適度に異国情緒もあり食べ物が美味しいばかりか岩もある。
結構いいところです。(長く住むとアラが見えて来ていやにな
るけど...)
他に、鶯歌岩(巨大な砂岩塊)とか尖石と言うところでも攀岩
(岩登りの中国名)しました。知名で選んで出かけると果たし
てその名の岩があるのです。誰も登ったことの無い所に登るの
は気持ちが良かったです。(ただし全てフリーソロ)
もし、さらに資料をご希望でしたらなんなりとご用命下さい。
私の周りには同好者が少ないのでさびしい限りです。

[Copyright (c) 1997 by Haruhiko Iso]