Date: Thu, 28 Dec 1995 10:05:35 +0900 From: Shigeki Kuzuoka Subject: [climbing 1650] hi-tech climbing インターネット/パソコン通信による 山屋の情報交換 1995.12.16 葛岡 成樹 1.はじめに 95年の新聞雑誌でのトレンド用語は、ウィンドウズ95にインターネット。年 末の秋葉原駅の混み様は二昔前の新宿アルプス広場の混み様以上でしょうか。 山屋には関係無いことと知らん顔をする方もありますが、使えるものは使って やろうじゃないですか。計算機を仕事にしている山屋からの提案です。 2.インターネット/パソコン通信とは サルでもわかるインターネット/パソコン通信といった雑誌記事が氾濫して いますが、仕組なんて知る必要はありません。要はどんなことができるのかが 問題です。 ・メール 私から貴方へのお手紙です。パソコンに打ち込んだ文章がそのまま相手に届 きます。 ・掲示板 パソコン通信での貼紙です。パソコンに打ち込んだ文章をパソコン通信の親 玉の掲示板に張り出しておくと、パソコン通信に入っている人が勝手に見て行 きます。 ・ニュース インターネットでの回覧板です。パソコンに打ち込んだ文章を送り出すとバ ケツリレー方式で世界中の計算機に回覧されます。 ・WWW(World Wide Web) 今年話題のインターネットというともっぱらこのWWWを指すことが多いよ うです。インターネットでの図書館です。文章だけでなく、写真、図、音声な どを計算機に入れておけば世界中の人が見に来てくれます。 3.山関係での利用方法 さて、山屋としてはこの便利なサービスをどう使えるのでしょうか。まずは、 上司の目を盗んで会社のパソコンからメールを出し、明日の山行計画を打ち合 わせるという手があります。その他にも以下のような利用がすでに行われてい ます。 (1)レスキュー通信のオンライン配布 日本の代表的パソコン通信NiftyServeやPC-VANには山屋関連の掲示板があり ます。ここは山屋の意見交換の場としてよく用いられています。この掲示板と インターネットニュースにレスキュー通信を流しています。未組織登山者の目 に触れる機会が少しでも多くなるようにという願いをこめて。 (2)冬山情報の収集 日本山岳レスキュー協議会の冬山情報収集には、今年度から電子メールを使 うことになりました。今までFAXで届いた情報を再度ワープロに入力してい たものが、電子メールだと再入力の手間が省けます。 また出来上がった冬山情報一覧はパソコン通信の掲示板にも貼り出しますの で、何時でも誰でも見ることができます。 (3)遭難情報の収集 下山遅れ発生時に必要な目撃者情報の収集。今までは各山岳会を通しての問 い合わせが中心でしたが、未組織登山者が多い今日、広く情報収集を求める必 要があります。パソコン通信の掲示板、インターネットニュースなどで広く情 報収集を働きかけることができます。 (4)Climbing Archive アメリカでは山岳関連WWWが運営されています。ここを覗くと各ルートの 紹介、登山用品のカタログ、ロープの強さに関する論文、全世界のクライミン グジム一覧など雑多な記事がいっぱい詰まっています。また計算機上で登山・ 岩登りの写真集も楽しめます。 4.Climbing Mailing Listについて 私が管理人をしているClimbing Mailing Listの宣伝です。MLとはインター ネット上1台の計算機にメンバーのメールアドレスを登録しておくと、そこ宛 のメールがメンバー全員に配布されるサービスです。 現在メンバーは約120人。日本全国からアメリカまでメンバーは広がってい ます。クライミングを始めようかという初心者からプロガイドまで、レベルも 様々です。現在毎日10〜20通のメールが流れています。 近頃の話題は冬山のルート紹介、アメリカのクライミングジムでのトレーニ ングマシン、自己脱出用器具の話から女性クライマーの結婚問題まで様々です。 参加希望者は「owner-climbing@iijnet.or.jp」までメールをお願いします。 そのとき氏名、メールアドレス、所属山岳会名(または無所属)を教えてくだ さい。 5.今後の展開 (1)Climbing Archive Japanを目指して アメリカに追い付きたいものと、Climbing Archive JapanなるWWWを開設し ようと準備しています。この中ではぜひレスキュー関連の情報も発信したいも のです。また各ルートの取付き・下山ルートなど通常のガイドブックにはあま り載らず、またときどき変更になる情報などを入れることを考えています。開 設の際には皆様に情報提供などお願いする事になると思います。よろしくお願 い致します。 (2)近未来の登山者 199x年の冬山、冬壁の取付きについたA君はザックからハンドヘルドコンピ ュータを取りだし、衛星携帯電話に接続した。さっそくコンピュータに接続し たGPSから出てくる位置情報をCD−ROMに入っている地図上に表示し、 現在地を確認する。次に計算機からClimbing Archive Japanを呼出して岩壁の 写真を取りだし、目の前の岩壁と比べてルートを確認する。 一方ベースキャンプでは人工衛星から撮影した地球の写真を呼び出している。 分解能1mなので明日のルート研究に充分使える訳だ。数日前の写真と比べると 雪崩の発生状況がよくわかる。また併せて気象衛星ひまわりの画像も取りだし て明日の天気を確認した。さあ、あすはアタックだ。 こんな山登りは邪道でしょうか? ===================================== 葛岡 成樹 横浜こぶしの会(労山神奈川)&もんたにやあるくらぶ(神奈川岳連)
作者(葛岡 成樹さん)からのメッセージ:
●作者自身は現在非常に忙しく、以上の件に携わるのは困難な状況にあります。