シーズン中で雪の状態がよければ、バレブランシュは端的な言い方ですが、
普通に滑ることができて、きちんとガイドの後をついていけば、
氷河スキーを楽しめるという感じを受けました。
だから今回ガイドは、私達のスキーレベルの確認はしませんでした。
オートルート(シャモニー〜ツェルマット)に関しても、今や、
登りの部分はヘリコプターを使い、ただ滑ることに徹するという、
いたれりつくせりツアーも出ています。但し費用は60万円以上と格高。
私なら、登る楽しみも欲しいですが。

天気予報は現地の駐在員(日本人)に聞きました。
(フェロースキーという海外スキー専門のツアーで行ったので)
天気予報は観光案内所前の広場に毎朝張り出されるそうです。
私は見に行ってないので、英語版があるかどうかは知りません。
今年のお正月シーズンはスキーヤーにとってはあたり年でした。
11月の大雪で氷河のクレバスが雪で埋まり、一般にオープンしたんだそうです。
例年、氷河スキーは2月下旬にオープンするのが普通だそう。

ベルナデッドさんは、ベルナデッド・津田さんになっていました。
たしか昨年は津田さんではなかったと思うのですが。
あいかわらず美しく明るく親切で日本語がお上手でした。

行動記録はとっていませんが、思い出しながら書いてみました。
まとまっていませんがお許しください(記録といえるかどうか・・トホホです)。
でも、あくまでも雪の状態が良い条件での滑走記録です。

97/1/1  シャモニーに到着。

1/2   ルトウールで滑る。天気が悪く降雪あり。
一応ゲレンデとはいえ、新雪しかもホワイトアウト状態での滑降はしんどいです。
ホテル(シャモニー駅のすぐ隣のフラントウール/スキー客がほとんど/☆☆)に
帰ると駐在員が、翌日は天気がよさそうなのでバレブランシュに行けるよう
現地ガイドの手配をしてくれました。
1人のガイドが面倒みられる人数はMAX6人だそうです。
同ツアーで参加希望者は10人位だったので、ガイドは2人つきました。
1人が支払った金額は350FF(約8000円)。
ということは、ガイド1人あたりに4〜5万円程というところでしょうか。

1/3    当日は朝、快晴のように見えましたが、ゴンドラでエギュドミディの頂上に
あがると強風でした。私の温度計はマイナス10度にはいっていなかったけど、
体感温度はさらに低いはず。
久しぶりの好天のためゴンドラは観光客もあわせて長蛇の列、頂上到着は10時過ぎ。
この強風のため、その後このゴンドラは運行をストップしたそう。

ザイル連結、ガイドからの注意事項の説明を受け、11時に出発。
(・絶対にガイドよりも前に出てはいけない。
  ・場所によっては、ガイドのトレースをはずしてはいけない。
  ・横滑りの箇所は指示に従う。)
この時、ガイドがお客の技量をきくことも、みることもありませんでした。
バレブランシュへ行くスキーヤーは頂上から谷の滑り出しまでリッジを
板をはずして歩いて降ります。
ガイドいわく、ここがいちばんの核心部で5〜6人づつザイルでアンザイレンしました。
一番後ろにガイドがつきましたが、1人が滑り落ちたら他の4人もひきずられて、
それをガイド1人で止められるのだろうかと疑問&不安になりました。
ここでは強風にあおられてバランスをくずす事が一番の危険のよう。
左手(ゴンドラから見える絶壁)に落ちたら絶対に止まらないから、
落ちるのなら右手(谷側)に落ちなさい等と冗談で言われましたが、
1歩づつ確実に降りれば大丈夫です。かれこれ30分位(渋滞のため時間がかかった)
で滑り出し部に着き、板をはいて滑降開始。11時30分頃。
もうこの頃には、上空は青空でも谷間にはガスが出始め、次第に小雪も降り始め、
場所により強風にもあおられる。
目出帽は頂上にあがった瞬間、危険を察知して即座につけました。これ正解。
それからサングラスではなくゴーグルは必携。

滑りはといえば、広大な雪面を各自思い思いに滑ります。ガイドは2人いたので、
先頭と最後尾につきました。そのうち客の1人が興奮したのか、ガイドよりも先に
滑っていってしまい、すると、ガイドがものすごい剣幕で怒鳴りつけていました
(最初の注意事項にあったこと)。
また別の人は深雪に足をとられて大クラッシュ、板が雪の奥深くに沈んでしまい行方不明に。
それを5〜6人が自分の板を雪につきさしながら、やっとのことで探し当てました。
この時に私は山スキー用の流れ止めの役割を知った様に思うのです、冗談でなく。
ダンディジュアンが雲の切れ間に見えました。ところどころ、
懸垂氷河が眼の前にドーンとそびえているようなところに出くわすともう圧巻です。

やがてクレバスが見え始め、特に両端をクレバスにはさまれた急な斜面は、
慎重に横滑りで降りるよう指示あり。ガイドは穴の手前でスタンバイ。
クレバスの中をちょっとのぞいてみると、真っ暗で深く、絶対にこんなところには
落ちたくないと思うのでありました。
まもなくはるか下の方にかすかに小屋が見え、そこで昼食とのこと。
距離的にも中間の位置だそう(小屋の名前は不明)。
ちょうどこの頃が一番吹雪いていた。小屋到着13:00頃。

小屋は1階にテーブル、2階にテーブルと簡易ベッドが少しあるだけの狭さゆえ大混雑。
そこにむりやり入り込み、立ったまま食事をする。
ガーリックの香りのおいしそうな食事も作ってくれるが、時間がかかるので、
私は持参のパン(スーパーで当日朝買った酒風味栗アン入りクロワッサン、
これがとてもおいしい)とテルモスの紅茶を食す。
トイレは一つしかなくかなり並ぶ。このコースでトイレはここだけなので、出発前から
水分は控えていました。 13:30頃、あわただしく出発。

これ以降は急斜面はなく、ひたすら滑るのみ。
時々ガイドからトレースをはずすなとの指示あり。ヒドンクレバスがあるのでしょう。
ひたすら滑りおり、モンタンベールの駅に合流するはずが、駅にあがるゴンドラが
強風でストップしており、町までさらに滑り降りることになった。
従って、駅には寄らなかったので「急なはしご」のことはわかりません。
林道に合流するために、氷河とはわかれて山道のようなところを板をかついで
少し登り返すと、そこに、カウンターだけの掘っ建て小屋があり、
簡単な飲み物、お酒が飲めます。そこで大休憩。
その後、林道を滑り、シャモニーの町に到着、16:00頃。
町に帰ったら薄日がさしていた。


頂上:約3840m、シャモニーの町:1040m、標高差:2800m
距離:約26km(だったかな?)

行動記録をとっていなかったので、時間はだいたいです。
人数が多かったことと、他にも多数のパーティがいて急斜面では渋滞していたこと等から
全体的に時間はゆっくりめで、のんびりした感じでした(私にはちょうどいい)。


1/4   グランモンテ頂上までゴンドラで上がり、アルジェンチエール氷河沿いを滑る。快晴
1/5   ロニオンで滑る。快晴
1/6   イタリアのクールマイユールで滑る。天気悪し。降雪あり。
      頂上へ行くゴンドラはストップしていた。ホワイトアウトの中を滑っていると、
      平衡感覚が麻痺してきて、下に滑っているのに登っているような気がして、
      気持ち悪くなってくる。
1/7〜8  帰国

と、こんな行程でした。あくまでゲレンデスキーヤとして行ったのだけど、
運良くバレブランシュを滑ることができたのは、大雪によるタナボタでした。


                                                                  以   上
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山下美保子
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[Copyright (c) 1997 by Mihoko Yamashita]