Date: Thu, 31 Oct 1996 02:06:34 +0900
From: "Yasuo Y. SUZUKI"
Subject: [climbing 4124] [free] Grenoble

鈴木です.  

さてグルノーブルのクライミングの報告です.  

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Grenobleの岩場

初日

雨の降るChamonixを後にして, Albertville経由でGrenobleをめざす.  紅葉の
美しい山道を軽快に飛ばして, 3時間ばかりでGrenobleに到着, やはり小雨が
降っている.  旧市街で食事を取るともう2時すぎになってしまった.  さっそ
く岩場の下見にBastille要塞に向かう.  観光用に市街地からロープウェイが
出ているが, 我々は川向うのLa Trancheのバス停のところから車で登る.  細
い道なので対向車に注意.  頂上にLe Pere Grasというレストランがあり, 駐
車場もある.  バスティーユ要塞の裏手にあたる.  この駐車場からTelesiege
が出ており, メインの岩場はさらにここから上にあるそうだが, 駐車場の奥に
見える岩場にもボルトが打ってある.  ここまで市街から約10分!

さらにその裏側に廻ると新しいルートがいくつもあった.  これらはみな3〜5
くらいのやさしいスラブルートで, ガイドブックにはsecteur d'initiationと
書いてある.  小雨がまだパラついているのでここはビショビショで登れない.
手前の前傾壁にもどってもう一度視察.  一応乾いていて登れそうだ.  ここの
ルートはガイドブックのどれに対応するかわからないが, 10台くらいに見える
ルートが4本ばかりある.  ちょうど我々のレベルに見える.  先ほどの裏側の
岩場へのアプローチを使って歩いてトップロープがはれる.  

まず中ほどのルートを選び, 家内がリードで始める.  観光客や高校生の野外
教室の人々の注目の的.  やはりちょうど良い難しさだ.  氷河あるきで疲れて
いるので, 核心でのムーブが冴えない.  そんなに難しくはないが, ちょっと
湿りけもあるので, なかなか突っ込めないと言っている.  家内はテンション
をかけながらもとりあえず上まで行ってトップロープをかけて降りてくる.
二人でTRトライ.  これならいける.  5.10a位だろうか.  二子の「話しはピー
マン」や「クールダウン」あるいは三崎の「ババヘラアイス」と同じ位のレベ
ルだが, ムーブが面白く, 室内壁で誰かが作ったかのような好ルート.  途中, 
ヘラ状のところがあるので, バスティーユのババヘラと勝手に名付ける.  家
内がフランスでの初RPしたところで, タイムアップ.  まだ日はあるけれど, 
友人宅に6時までに着く約束だから荷物をまとめる.  残りのルートも面
白そうなんだけどなあ.  

二日目

グルノーブルの周辺には良い岩場が市内から30分以内のところに20箇所以上も
あります[1,2].  老舗のSt.Egreveか, 新興のComboire[3]か迷ったけれど, 家
内は前傾壁好みなので, Comboireの方にしました.  べつにSt.Egreveには前傾
壁が無いといっている訳ではなく, ただ新興の壁の方がよりスポーツクライミ
ング傾向が強いだろうと想像しただけです.  St.Egreveは翌日, 遠くから眺め
ただけです.

ComboireはClaixという街とスタンダールの由来のある(帰り道になんか見かけ
ました)Seyssinsという街の間にあり, 壁の裏側からアプローチします.  未舗
装路を車で入っていき左側に駐車場があります.  グルノーブル周辺の地図と
[1]があれば, どの岩場も問題なく見つけられるはずです.

駐車場からのアプローチは短く快適5分ほど.  あっという間にカブッタ岩場に
到着です.  家内は「グルノーブル版, 二子だー」と叫んでいました.  この広
い岩場に2時くらいまでふたりっきり登り放題です.  空からみる街の景色も最
高です.  グレードは5+から7くらいまで.  6台が豊富です.  午前中は曇り, 
午後は晴れ.  クライミングにはもってこいのお天気でした.

岩場の下を歩いていくと, 超カブッタ(ビックロックや甲府の岳にあるような
ルーフ)岩もあり, そこにはなんと人工のホールドがつけられているのでビッ
クリ.

まずは上の岩だなまでかんたんなルートDepart Commun(4/4+)を3 pitchあがり
ます.  街の景色がきれいです.  ガイドブックによると上には☆のついた6台
のルートがいくつかあるはずなのですが, 途中からルートがよくわからなくなっ
たので, 景色をながめてから, 懸垂で降りてきました.  下におりてFace sud
(南壁)にもどり, Folie douce (5+)をトライ, 途中ハンドジャムが一箇所あり
そこが核心かなあ.  ルートは良く整備されていて, ボルトはみなしっかりし
ています.  飛び出た岩をかかえて乗り越したりして面白い.  5.10aくらいか
なあ.

2時くらいからパラパラと地元クライマーがやってきます.  ぞくぞくと若い女
性集団がやってきました.  んー, みんなかわいい.  家内が「日本の独身のク
ライマーはみんなここへくるべきだ」と言っていました.  他にアベック2〜3
組ほど.  どのグレードもルートは豊富にあります.  女の子の集団はやさしい
ルートをやっていました.  なんと今日は女性クライマーの方が多い!

次はLunule nulle fissure sure (6a/b) に家内がトライ.  もうだいぶ疲れて
きてしまったので, 手がもたないみたいだ.  こんな岩場にきてマルチピッチ
なんてやるんじゃなかったと怒られてしまった.  夕方研究室を訪問する約束
もあるので, そろそろおしまい.  はじめて来る岩場はアプローチやルート選
びに時間がかかるのでしょうがない.  またぜひ来たいと思わせる岩場でした.

夜にむかしの研究仲間であつまって食事をしたときに出た話し, 「パリではうま
く話しをする奴がもてるが, グルノーブルではクライミングがうまくないとも
てない」そうです.  パリから来てここの研究所に就職している独身のノン・ク
ライマーの友人は, 「だからおれはパリに帰りたい」と言っていました.

三日目

グルノーブルの中心から車で約10分のEuropean Synchrotron Radiation
Facilitiesを訪問.  すぐ隣にはSt.Egreveの岩場がそびえている.  み
んな研究室にスキーと岩登り用具を備えていて, 臨戦体制だ.  今日は
ピーカンのお天気です.  岩場に行きたいけれど, まだフォンテンブロー
もあるし, 疲れも残っているので, 今日はまじめに研究所見学.  「岩
場の上からながめるとこの直径1キロほどのシンクロトロンの施設は, 
宇宙船のように見えてきれいだ」との説明を受ける.  こいつらもやっ
ぱり岩登りばっかりやってるなと思う.

家内はグルノーブルがとっても気に入ってしまい私は今転職を迫られています.  

References

1.  D.Duhaut-C.Vigier, "Escalades autour de Grenoble" Edition 1996
PROMO GRIMPE, Grenoble 1996.  パリのAu vieux campeurで買いました. 
ChamonixのSnell Sportsにも売ってました.  

2.  Alipinisme & Randonnee 別冊 1996 秋の号, LES GUIDES
d'Alpinisme & Randonnee Hors series Alipinisme & Randonnee,
Triemstriel #3 Octobre/novembre/decembre 1996 "Escalade
L'Hexagone en grimpant".  これもAu vieux campeurで購入, フランス
中の岩場のガイドになっている旅行者には良い冊子でした.  別に何も
期待していなかったのですが, Grenoble地域も載っていました.

3.  Alpinisme & randonnee #199 Novembre/decembre 1996 pp.68-69,
Grenobleの駅の売店で買ったら, たまたまComboireが特集されていまし
た.  今注目の岩場なのでしょうか.
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あとはパリのフォンテンブローですね.  では.  


		鈴木 康夫

写真は 鈴木さんのグルノーブルのページ をご覧下さい(ちょっと重いかもしれません)。
[Copyright (c) 1996 by Yasuo Suzuki]