川内山塊、日倉山、日本平山 
五十母川赤松沢左俣右沢 → 谷沢川大倉沢下降溯行 
1996年6月29日 - 6月30日 
C.L.菅井 猛、宮沖恵美、白川 晃 (浦和浪漫山岳会)

記=菅井

会の地域研究として取り込んでいる川内に、やっと入ることができた。毎週山
行が続く中、この期を逃すまいと計画を立てたのだが、果してメンバーはいる
のかが心配になる。白川さんと、有名ルート指向(?)の宮沖さんがこのマイナー
ルートにのってくれた。今回の山行をまとめると以下のようになるだろう。

1. 赤松沢の上部は、雪渓と連瀑帯のため厳しい渓相であった。
2. 谷沢川の支流の大倉沢は、下降に適した沢。
3. 谷沢川本流の岩魚は健在。

6/29 (曇り時々雨)

五十島の駅のタクシーが都合で使えないので、五十島駅から歩く。通学路の小
学生とすれ違うなんとなく照れくさい。3km程で林道の入り口。ここからさら
に林道を歩く。1994年に車で入った時は、終点まで入れたが、鉱山跡の建物か
ら奥は道路は崩壊して車は入れない。たぶん、昨年の夏か秋の大雨による増水
によるものだろう。入渓点に赤布をつけて出発する。

赤松沢の出合はちょっとしたゴルジュになっている。過去2回の溯行(日倉沢、
持倉沢)では、ここを偵察している。ゴルジュ入口の4M滝の左の壁には、ロープが
ぶらさがっている。ここは腰上まで水につかり滝に取り付く。宮沖さんトップ
で、右壁を微妙なバランスで登り、ザックを引き上げる。ゴルジュの中の小滝
を快適に越えると、いったん沢は開け、右俣が水量比1:1で合わせる。

次の4M滝で、宮沖さんは左の草つきから巻き、私と白川は右から巻く。その
高巻きの下降で、白川が高さ5M程ずれ落ちる。後から巻いてきた白川に対し
て、私が巻いたルートよりも緩斜面の方を降りろと指示する。ところがその斜
面には手がかりとなる灌木がなく、ちょっとしたスリップでお尻から滑べって
沢床まで落ちる。私がさっさと降りてしまったので、あとから登ったきた白川
は精神的にも焦っていたかもしれない。きちんとホローするのだったと反省す
る。膝と弁慶の泣きどころぶつけたらしく、少し休んでもらう。

気をとり直して、溯行を開始して、しばらくすると、10Mの直登不能の滝が
現われる。右岸の枝沢に入って巻く。奥の二俣では雪渓で埋まっており、左俣左
沢に入るためには、大きく高巻かなければならない。その奥に30M程の悪そ
うな滝がかかっている。その滝は、上部の雪渓のためか水量多く、迫力がある。
雪渓からすぐにとりつける左俣右沢に入る。急に沢が険悪な様相をおびてきた。
雪渓が滝で寸断されており、左岸からの高巻きとなる。巻き終えるとすぐに雪
渓で先はズタズタの雪渓がある。左俣右沢の右岸はスラブ模様だ。雪の消えた
時期にゆっくり滝を登って見ようと思わせるほどの渓相であった。巻きの薮こ
ぎが慣れていないメンバーがいるため、思いのほか時間がかかる。

沢通しに進みたかったのだが、時間も遅く、左岸の尾根に逃げることにする。
赤松沢右俣と左俣の間の中間尾根には、立派なナタ目があった。最近も切った
後があり、今もなお、使っているようだ。たぶん、赤松沢右俣と左俣との二俣
まで続いていると思う。しばらく、その径をたどり、日倉山への登山道と合流
する。日倉山からは、飯豊の残雪の山々が近くに見える。登山道を日本平方面
に進み、金ヶ谷の沢が横切る平らな所を幕場とする。フライを張ると、辺りは
もう暗くなっていた。

[コースタイム]
6/29 (曇り時々雨) 五十島駅(6:55) → 五十母川入渓点(8:40-8:50) →
→ 赤松沢二俣(10:15) → 10M滝上(13:40-13:50) → 30M3段滝上(14:20) 
→ 日倉山登山道(16:45) → 日倉山(17:20-17:40) → 清水(金ヶ谷源頭)(18:55)

6/30 (雨時々曇り)

谷沢川の支流を沢を一つでもトレースしようと、3:30に起き、幕場を出発する。
出発時は雨は降っていなかった。登山道を日本平山へ急ぐ。日本平山からは、
曇天ながら、川内、会越、越後三山の山々が見える。矢筈岳の各沢の上部にも、
雪渓が多く残っているのがよくわかる。

なんとか、谷沢川本流まで行こうと、大倉沢の下降を開始する。沢の源頭には
雪渓が残っているが、予想通り穏やかな渓相である。本流手前の2つの5M滝
を一つをクライムダウンし、一つを左岸から巻き、本流に降り立つ。雨のため、
少し増水しているようであった。少し遡った7M2段の滝で、岩魚を2匹をすか
さず釣り、大きい方を刺身にして食う。これでなんとか、面目がたったと一安
心。昼飯を食べているとどしゃぶりの雨となる。

往路をたどり、3時間弱で日本平山に着く。そこから、谷沢集落までの道は長
かった。この道は蛭がいるので気を付けなければならない。また、人分山の手
前からは、五十母川の持倉沢に下る道があった。指導標もしっかりあったので、
まだ、使われているようだ。

2日間ともフル行動で少しきつすぎたか。 まあ、夏合宿のトレーニングと考
えれば、この位の行動時間もいいだろう。赤松沢の渓相もわかったし、谷沢川
の支流も溯行価値があるとは言い難い。うーん、今度は、早めに幕場について
のんびりしたいなとも思った。

[コースタイム]
6/30 (雨時々曇り) 清水(金ヶ谷源頭)BP(5:25) → 日本平山(6:50-7:05)
→ 谷沢川大倉沢下降 →  谷沢川本流出合(9:30-10:25) → 
谷沢川大倉沢溯行 → 日本平山(13:10) → 大池(14:35) → 谷沢集落(17:30)

[Copyright (c) 1996 by Takeshi Sugai]