知覧



黒色は知覧町の戦史詳細図、赤色は昭和20年8月の配置図による配置



知覧町の戦史詳細図によると、高射砲、機関砲、電波標定機の位置は上図のようになっている(黒色)。一方の昭和20年8月の配置図では、高射砲中隊が2個、機関砲中隊が1個、電波標定機が1個分隊となっており(赤色)、配置場所も高射砲中隊が1ヵ所のみ合っているっぽいような位置にある以外は(この配置図は縮尺が荒く位置は大雑把)、数も場所も合っていない。
地元でまとめたものなので知覧町の図の方が信憑性が高いとは思うものの、2個中隊しかなかった高射砲の陣地の数が6ヶ所もあり、しかも中には展開するには不十分な広さしかない山頂に描かれているものもある。3ヶ月程の間に陣地移動があったのか、偽陣地もカウントしているのか、ただの誤伝承なのかはわからない。
一方の機関砲は最大でも2個しか機関砲中隊がなかったにも関わらず、4ヶ所の機銃陣地が描かれている。ケキ砲の場合は照準装置の都合から中隊の分割は不都合であるが、6月のリストで挙げられている第5中隊の98式9門を3門づつ分散配置していたのか、陣地転換があったのかは不明である。

この一帯の航空写真は解像度が悪く、ただでさえすぐに畑に戻されてしまい判別の難しい野戦高射砲陣地を判別できなかったので、省略。




日付 高射戦記、砲兵沿革史、復員省資料等による記事
昭和20年6月 野戦高射砲第98大隊 大隊本部
野戦高射砲第98大隊 高射砲第1中隊 特7cm高射砲6門
野戦高射砲第98大隊 高射砲第2中隊 特7cm高射砲6門(現在八代にあり)
機関砲第21大隊 機関砲第4中隊 ケキ砲6門
機関砲第21大隊 機関砲第5中隊 98式9門
高射砲第132連隊 タ号2型1基 調整中(高射砲隊電測小隊配置状況表より)
昭和20年8月 高射砲第131連隊 高射砲第12中隊 7cm高射砲
野戦高射砲第98大隊 大隊本部
野戦高射砲第98大隊 高射砲第1中隊 特7cm高射砲
機関砲第21大隊 機関砲第4中隊 ケキ砲6門
高射砲第131連隊 タ号2型1基 否(電波標定機配置表より)