FCS ハンドブック
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DEPARTMENT OF DEFENSE HANDBOOK, FIRE CONTROL SYSTEMS_GENERAL
MIL-HDBK-799(AR)
Department of Defence, United State of America
1-2.4.3.2 Mechanical Computers
プロットボードや測距偏差修正器といった海岸砲台で目標の距離や方位角を手動で決定する(現在と未来位置)や弾道修正を行う事は、は正確さや信頼性のある計算にはふさわしくない。人的エラーとエラーデータと修正設定との間での時間ロスとの結果から、海岸砲で射撃データを自動的に生成する計算機の仕様を描き出すことになった。
初期の射撃データ計算機の一つは、フランスで対空砲用に開発された機械式計算機M1917であり、第一次世界大戦時にアメリカ軍でも標準装備されていた。これはあまりに複雑で人の能力を遥かに超してしまった射撃管制問題に対する最初の試みであり、1917年当時としてはこの方法が最も良い解決方法であると考えられていた。
しかし、非標準的な状態での計算が出来なかったし、また悪い事に砲への電気的伝達技術が無かった為に射撃データの伝達に時間を要してしまった。その代わりとして、射撃データは遠隔地から砲まで電話でもって伝えられた。こうして、瞬間的かつ連続的なデータ計算と、武器側へのデータの応用といったコンセプトは、以上のような欠点によって大きく損なわれる事になった。
第一次世界大戦前とその間、英国海軍省は、艦船上の砲群を遠隔から操作する管制射撃の原理を習得した。この原理に基づいた満足の行く射撃指示装置が英国海軍向けにイギリスのビッカーズ社によって設計、製作された。そしてそのすぐ後に、別の射撃指示装置が英国陸軍向けに作られた。米陸軍では、その海軍向けのものを一部借用し、ビッカーズ社製射撃指示装置M1として標準装備した。この指示装置の設計は、角速度方式を基本としている。準弾道タイプで、弾の飛行に関する非標準的状態に対する部分的修正機能をもっていた。
続いての20年間、兵器技術者によって、人的エラーを無くし時間とマンパワーを節約する自動計算装置を求めた結果、非標準的弾道状態にも完全に修正を行えるM2、M3、M4射撃指示装置として結実した。これらの装置は先導(lead)の決定に目標の線形速度手法を用い、また弾道データ計算に3次元カムを用いて計算するように設計されている。これらの指示装置は一般的指示装置として位置付けられている。なぜならこれらの指示装置を対空、対地、そして対艦目標に使用できる上に、360度全方向、仰角で80度、俯角で10度まで対応できたからである。特に対空目標に対して使いやすかった。なぜなら航空機の目標は小さく三次元方向での動きも早く、自動計算と射撃データの砲側への自動転送は、対空火器管制問題の十分な解決に必要となっていたからである。
1-2.4.3.3 電気指示装置
1940年に出た90mm高射砲と120mm高射砲向けに、ベル電話研究所の科学者が電気で計算を行う射撃指示装置を提案した。それから1年経って新しく開発された追尾の為のレーダーの原理に使えそうだと判ってから、熱狂的に計画が進められる事になる。
陸軍兵器局の設計者と、ベル研究所、そして国立国防研究委員会(NDRC)が合同で開発、設計、試作を行い、そして1942年の初めに数学的で複雑なM9指揮装置として標準化された。生産は標準部品を使って単純化された。しかし90mm高射砲用として開発されたM9と後に120mm高射砲用として開発されたM10は、大型の高射砲にしか利用できないようなとても複雑で扱いにくい機器だった。まずその大きさ(約1600kg)で、砲と分離してトレーラーで運搬して設置しなければならなかったものの、機械式の指揮装置と比べると明確な多くの利点が存在した。
1.機械式計算機の固有のエラーの多くを防ぐ事が可能
2.非標準弾道状態での完全な計算解を出す事が可能
3.より近距離や、より長距離での計算が可能
4.目標の追尾(tracking)を改良した
それぞれの電気式指揮装置は追尾装置、計算機、高度変換機、そして全てのケーブルシステムと相互接続した発電機ユニットから成る。可視目標に対しては追尾装置が計算機に距離、仰角、方位データを伝達する。レーダーシステムは目標を目視できない場合に使われる。極座標系で定義された目標の位置データは、計算機内で直交座標系へと変換される。また計算機は時間要素を得て、見越角(lead?)を得る為に目標の速度を決定する。そして射撃情報の弾道参照を探し、非標準状態の修正を行う。全ての射撃データを自動的に電気的に連続して計算する。これらのデータは高射砲に連続的に、そして殆ど瞬間的に送られるのである。
2-3.3.2 Weapon Stationary and Target Moving
火砲が固定で目標が移動している場合、目標に誘導する必要がある。目標の未来位置の決定は、目標の現在の位置情報の変化率に基づいて行われる。短射程では、直接射撃兵器の運動学的な誘導は、頻繁な測距によって求められる飛行時間と目標の速度から概算される。
もっと正確な射撃の為には、運動学誘導の決定をコンピューターを使うことの出来る一般的な3種類の予測プロセスがある。
1.角速度法(the angular rate of travel method)
2.線形速度法(the linear speed method)
3.非線形法(the nonlinear method)
角速度法は最も手っ取り早い解法である。図2-22に示す通り、目標がTo点にいる時に発射すると、弾がTo点に到着した時には目標は予測された未来位置であるTp点に移動している。方位角だけを考慮した場合、もしも目標がTp点に至るまでの飛行時間tpが判っているとすると、おおよその運動学誘導修正(見越角のことか?)CAは
CA≒tp・Ao,rad (2-1)
となる。
図2-22.固定武器による移動目標への角速度法での未来位置予想による射撃
Af=発射方位角、北から時計回りで測ったもの
QE=四分儀仰角(水平面と砲軸との角度)
CA=おおよその方位角での見越角(rad)
tp=予測された未来位置までの弾の飛行時間(s)
・Ao=Aoの時間変化率、もしくは目標の方位角での角速度(rad/s)
計算機は現在位置データ(AoやRo、Eo等)の機能としてtpを獲得し、方位角方向への旋回角速度を測る事によってAoの変化率を測る。弾道データを保存するために、計算機は必要な横滑り(drift)と風の修正値を加え、射撃方位角Afを割り出すのである。似たような方法で俯角変化率を使い、重力修正を加えて四分儀仰角(QE)を求める。・Ao(Aoの変化率)と・Eo(Eoの変化率:目標の俯角変化率)は滅多に一定ではなく、tpは目標の現在位置toへの弾の飛行時間とは等しくならないので、目標の現在位置への飛行時間はただの概算である。自動火器の追尾の機械化は素早く、そして相対的に単純なので、高速目標の短射程射撃には自動火器が向いている。自動火器射撃の量と散布パターンは角速度の概算結果による誤差を補償する。
線形速度法はその解法においてより実際的である。線形速度法では、計算機は測距儀等から入力されたAo、Eo、そしてRoを図2-23にあるようにXo、Yo、そしてhoに変換する。計算機はこれらの値を時間に関して微分を取り・Xo、・Yo、・hoを求め、それに弾の飛行時間を掛けて未来位置Xp、Yp、hpを出す。成功する概算方式を使って計算機によって求められる飛行時間tpは、未来位置Tpへ至る実際の飛行時間である。次に計算機は記憶された弾道データを重力、横滑り、風、そして他の気象学的なものや弾道学的要素で修正し、Af、QE、そして必要なら信管設定時間を導き出すのである。線形速度法の正確さは、目標が一定のコースとスピードを保つ事に依存する。この手法は対空砲のアプリケーションに見られる。
未来位置計算の非線形手法は、目標の動きにおける速度の追加のより高度な導関数が要求される。しかし未来位置計算プロセスに含まれる要素を保証するに十分な正確性を概算する、加速や急な加速の計測は、速度ほど単純ではない。それどころか、非線形での未来位置計算は現在ですらヘリコプターの空対空や戦車の地対地といった分野で研究中ですらある。繰り返すなら、フィルターをかける時に、解の品質を下げない加速概算を提供する、十分な正確な位置情報と旋回加速度情報を得るのが困難である。普通、手法は計算機によって不正確な加速概算を検出し、また加速要素を無くす為に未来位置予測を線形解法に置き換える為に提供される。カルマンフィルターの使用は、予測の為の弾の飛行時間によって進歩した目標の動き概算の使用の可能性の紹介をしたにも関わらず、発達した計算は設計者を落胆させた。正確な加速概算の為に支払われたペナルティは、時にはフィルターの設定に要する時間が増える傾向になり、全体のシステムの反応時間が増加する結果となった。線形解法での予測手法では、弾道修正は予測された位置について行われる。
最近では、デジタル機器の計算柔軟性と発達したコミュニケーションは、地上間接射撃兵器での目標位置予測の調査を勇気付けている。弾の飛行時間が一般にとても長いにも関わらず、目標の速度は関連して遅く、またよく予測可能、なぜなら目標は普通道に沿ったり地面の特徴によって走るからである。もう一度いうが、弾道計算でのカーブやジャンプ、そして一般でない状態は目標の予測位置によるのである。
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