可部寺山 監視哨?
2007.3.9 探索
2007.3.25 新規作成
2021.8.25 全面リニューアル




 ふとしたきっかけで、伯父から可部の寺山の山頂に高射砲陣地が残っていることを教えて貰った。実際に行ってみたところ高射砲ではないものの、何らかの軍事施設だということは確かだった。しかし可部の周辺に軍事施設があったという事は初耳で、調べてみたところ昭和20年の3月に広島の地区司令部が創設され、終戦時にはその地区司令部が可部にあったということが判った(可部町史によると県立可部高等女学校―現在の県立可部高校―に移転予定だったらしいが詳細は不明)。恐らくは、その移転に伴って終戦間際に建設された施設なのかもしれない。また可部には民間の防空監視哨もあったが、こちらはもっとしっかりとしたものが別に残っている。


 探索した際、丁度古墳の発掘調査を行った直後で、丸裸にされていたので地形を把握しやすく助かった。後から古墳の調査報告書を読んでみたが、戦時中の遺構に関して一切触れられていなかった。


左:頂上を南東から、右:頂上にある円形窪地A


左:円形窪地Aの北側、右:南側


左:円形窪地Aを北から、右:円形窪地Aから北西に延びる連絡路?


 山頂に円形窪地Aがある。内径約7m、北西方向に連絡路?
が開いている。ただあまりにも狭いので、ケーブル類を
通していた溝かもしれない。底は平らで、基礎等があった
痕跡は何も無い。
 照空灯を置くスペースとしては十分だが、遠隔操縦機や
聴音機関連の施設が無く、可能性としては低い。防空
監視哨の聴音壕かもしれない。


左:連絡路?、右:西下の平坦地B


左:平坦地Bを南から、右:平坦地Bから円形窪地Aを望む


左:平坦地Bの西端にあるL字型窪地、右:平坦地Cを東から


 円形窪地Aの西下には平坦地Bがある。かなり広く、兵舎
でも建っていたのではないかと思われるが、基礎や残骸は
無い。西端にはL字型窪地がある。
 円形窪地Aの南下には平坦地Cがある。かなり狭いが、
円形窪地Aの斜面に窪みがある。もしかしたらAの底に向け
て管が何かを通していたのかもしれない。


左:平坦地C、右:Aから平坦地Cを見下ろす


左:南東側の尾根、右:北側の尾根


左:窪地E、右:同左


 南西下には、よくわからない窪地Fがある。畑にしては
あまりに手の込んだ地形をしているので、もしかしたら
関連施設跡かもしれない。西下の谷筋にも広い平坦地が
幾つかあるが、これは田んぼか畑の跡っぽい。


左:窪地Eの北側、右:窪地Eの北西側の土塁


左:山の西下の平坦地、右:同左


左:山の南麓にある2つの防空壕、右:その西側の防空壕

 また山の南麓には、比較的大き目の防空壕が2ヶ所ある。この山自体に何かの施設が造られていたのだろうか。



 全体として、何の施設なのかは不明である。