飛渡瀬第一 防空高角砲台





飛渡瀬第一 防空高角砲台(2006.4.23、2007.3.18再訪)


国土地理院の航空写真、1960年頃(左:MCG628-C29A-9、右:MCG628-C28-9)



国土地理院の航空写真、1960年代(MCG628-C29A-9)



米軍の航空写真(左:M2-6-12、右:M2-6-13)







探索範囲



江田島の仏ノ塔山の山頂周辺に飛渡瀬第一防空高角砲台がある。一応登山道が整備されているものの羊歯や潅木が繁って埋もれつつある。
航空写真を見る限り、かなり広範囲にわたって施設らしきものが写っているが、山が荒れていて全ての範囲の探索は難しい。




砲台北部





左:石材?A、右:Bの西側斜面



左:円形窪地Bの東側、右:円形窪地B



左:円形窪地Bの底部、右:円形窪地Bの北面



左:円形窪地C、右:円形窪地C



左:右端がC、真中がD、左端がE、右:CとDの間の溝



左:方形窪地D、右:方形窪地E



左:円形窪地F(左手前)と方形窪地E(右奥)、右:円形窪地F



左:円形窪地F、右:Fの北東下の溝G



左:掘削平坦地H(北側から)、右:掘削平坦地H(西側から)



左:円形窪地Jを北東下から、右:石垣I



左:円形窪地Jの出入口付近の石垣、右:円形窪地Jの内部



左:方形窪地K、右:方形窪地Kの東側に抜ける溝



左:円形窪地L、右:円形窪地Lの南西縁




円形窪地Bの周辺は変わっており、円形窪地Bを偏中心としたすり鉢状の形状になっている。円形窪地Bは内径約9m、深さ約2.5m。内壁は削り出しの岩肌で、Bの北上の斜面には石垣の建材らしき物が多数置かれている事から、Bは石材を掘り出した後に出来た只の穴という可能性も考えられる。ただ引渡目録内に電波探信儀が未装備である事、大きなすり鉢状地形の中心に電波探信儀を配置している砲台が幾つかあることから、Bに電波探信儀を装備する予定だった可能性も無くもない。まあとにかく判らない。


すり鉢地形と砲座の間には、2ヶ所の窪地群がある。

北側の窪地群は円形窪地2ヶ所と方形窪地2ヶ所で構成されている。引渡し機材から見て、どちらも指揮所かと思われる。
円形窪地Cは目測で内径が約3m、西側に出入口がある。Cの南西には内側を石垣で補強された方形窪地Dがある。DとEの間にはケーブルか何かが埋まっていたかと思われる溝がある。登山道を挟んで東側には円形窪地Fと方形窪地Eがある。EとFとは繋がっている。またFの北下には通路らしき溝Gがある。少し離れて東側の斜面には掘削で造られた平坦地Hがある。

南側の窪地群は円形窪地2ヶ所と方形窪地1ヶ所で構成されている。円形窪地Jは目測で内径が約2.5m、北東側に出入口がある。Jの南側には少し小さい円形窪地Lがあり、北西側に出入口がある。登山道を挟んで東側には方形窪地Kがあり、東側にケーブルを通していたらしい溝がある。東下は石垣Iで補強されている。また少し南側には登山道の両側に小さな平坦地Mがある。






砲台中部(砲座周辺)





左:砲座Aの北東側の出入口らしき溝、右:砲座Aの東縁の石垣



左:東縁から砲座A、右:砲座A内部



左:砲座Aの底部、右:砲座Aの砲側弾薬庫の壁面その1



左:砲座Aの砲側弾薬庫の壁面その2、右:砲座Aの砲側弾薬庫の壁面その3



左:砲座Aの南側の連絡路B付属の方形窪地、右:連絡路B



左:連絡路Bの角部の石垣、右:連絡路Bの西側出口C



左:Cの南側の石垣、右:Cの南側の平坦地



左:Cの北側の石垣(上)、右:Cの北側の石垣(下)



左:砲座D内部、右:砲座Dの南東縁



左:砲座Dの北東縁、右:砲座Dの連絡路E



左:連絡路Eの南側の分岐F、右:分岐Fの内部



左:Fの西側の石垣、右:南側の出口G



左:掘削平坦地H、右:掘削平坦地Hの南壁




仏塔山の三角点を挟んで、南北にA・Dの2基の砲座がある。
どちらも内部に雑木が生え、また石垣が崩落して形状を把握しにくいが、目測で内径が約10m、深さは約3mある。砲座の内周に等間隔で配置されていた砲側弾薬庫の残骸を見るに綺麗に仕上げられており、今でこそ良くわからなくなっているが当時は内壁は石垣等でキッチリと仕上げられていたのではないかと思われる。どちらの砲座にも2ヶ所の出入口が設けられており、南南西方向には太い連絡路が設けられている。また連絡路の両側には用途不明の窪地が3ヶ所づつ設けられている。
東南へ伸びる登山道の東下には、掘削平坦地Hがある。





砲台南部




左:平坦地A、右:平坦地B



左:平坦地C、右:平坦地Cのコンクリート残骸



左:平坦地Cのコンクリート残骸、右:列石D



左:円形窪地E、右:円形窪地E



左:斜面を削った窪地F、右:平坦地H、奥に土留めの石垣



左:平坦地Hの角部、右:平坦地H



左:平坦地G、右:HI間の通路



左:掘削平坦地I、右:IJ間の土壁



左:掘削平坦地Jの西壁、右:Jの南西隅



左:掘削平坦地Jの北側、右:Jの南側の土塁




南側には付属施設がある。

砲座から南西に伸びる尾根上には、所々に小さな平坦地や、人工的に並べられた列石やコンクリートやレンガの残骸があるが、これといった遺構は無かった。航空写真を見ると水槽か兵舎らしいものが写っているのだが、尾根の北西下に何かがあったのかもしれない。
砲座から南東に伸びる尾根の先には、円形窪地Eがあるが用途は不明である。またEのすぐ南にはコンクリートが敷かれて石仏が安置されいる。Eの西下には平坦地F、G、Hがあるが、用途は判らない。
西に伸びた尾根上には、掘削平坦地IとJがある。兵舎が建っていたと思われるが、藪が酷くて基礎や残骸等は確認できていない。






飛渡瀬第一防空高角砲台
日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和19年10月 98式10cm連装高角砲2基 官房艦機密第5347号、未着工
昭和19年11月 12.7cm連装高角砲3基 官房艦機密第12092号に依り工事中、熊野に装備すべきを同所に変更(高烏と間違い?)
(高烏の記事:98式10cm連装高角砲2基 官房艦機密第4992号に依り工事中)
昭和19年12月 10cm連装高角砲砲台工事中
昭和20年1月 10cm連装高角砲2基 工事中
呉警備隊機密第31号ノ18 昭和19年官房艦機密第5347号に依る4号電探の兵員配員の件上申
昭和20年2月 10cm連装高角砲2基 工事中
昭和20年8月31日 引渡:
10cm連装高角砲2基
3式陸用高射装置付属品補用品共 1組
4式陸用高射装置付属品補用品共 1組
97式2m高角測距儀付属品補用品共 1組
8cm高角双眼望遠鏡 1個
 仮称4号2型電波探信儀(S24) 未装1

用地:87800m2、建物:550m2
用地:409m2





飛渡瀬 防空機銃砲台(未攻略)




米軍の航空写真(M2_6-28)

詳細不明。飛渡瀬第一防空高角砲台の敷地内にあるのか、南東に下りる尾根上にあったのか不明。航空写真を見ると、貯油所東側の尾根上に施設らしきものが写っているが、現地で確認してみないことには判らない。


日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和16年11月 機銃防空砲台、第一砲台群
昭和16年12月 機銃防空砲台
昭和17年1月 機銃防空砲台
昭和17年5月 官房機密第5409号(17.5.3)
機密呉鎮守府命令第135号機銃防空砲台仮設の件、40mm連装機銃1(呉鎮)
昭和17年6月3日 機密呉鎮命令第135号
昭和17年8月 仮設兵舎1(広工廠にて仮設、隊内工作)、40mm連装機関砲1基 工事完成
昭和17年9月 機銃防空砲台
昭和18年1月 機銃砲台
昭和19年6月 40mm連装機銃1基 既設
昭和19年7月 40mm連1基 既設
昭和19年8月 40mm連1基 既設
昭和19年9月 40mm連1基 既設
昭和19年10月 既設 40mm連1基
昭和19年11月 40mm連1基 既設





池浜 応急防空機銃砲台(2006.4.23、2007.3.18再訪)

戦時日誌の昭和17年頃に付いている地図を見ていると、秋月弾薬庫と飛渡瀬貯油所の間くらいの海岸線付近に、「池浜」という地名が書かれていた。上記地図の場所から近く、また飛渡瀬第一防空高角砲台にしては余分な遺構なので、ここが池浜の機銃砲台なのかと思われる。







左:円形窪地A、右:同左



左:トンネルB(東側出口)、右:トンネルB(西側出口)



左:円形窪地Cの東側斜面、右:円形窪地C



左:円形窪地C、右:円形窪地Cの内部の石垣



左:円形窪地D、右:円形窪地D



左:円形窪地E、右:円形窪地E


南北に伸びた尾根上の、北に離れて円形窪地が1ヶ所、南側に円形窪地が4ヶ所並んでいる。また途中の尾根の下に東西に通じていると思われるトンネルBが掘られている。円形窪地の内径は約3mである。
付属施設を調査したかったが、羊歯や藪に埋もれていて地形確認は殆ど出来なかった。




日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和19年6月 25mm連装機銃3基 応急機銃として工事中
昭和19年7月 25mm連3基 応急機銃として工事中
昭和19年8月 25mm連3基 応急工事中
昭和19年9月 25mm連3基 工事中(応急分散)
昭和19年10月 25mm連3基 工事中(応急分散)
昭和19年11月 (機銃砲台リストから消える)





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