石鎚山 防空高角砲台・対空見張所





石鎚山 防空高角砲台・対空見張所(2006.4.18、5.22再訪、6.4再訪)


右:米軍の航空写真(R462-20)


米軍の航空写真(M311-22〜24)


呉市街の南東にそびえる休山(石鎚山ともいう)の山頂付近に、対空見張所と防空高角砲台が造られる予定だった。各種設備は築かれているようだが全体として工事はあまり進まなかったらしく、砲座等の遺構は残っていない。




北部東側尾根東側






左:東端の北東隅(F)の石垣の東面、右:同左の北面



左:同上の石垣の南側、右:石垣の上側の平坦地



左:ベンチ、右:ベンチ北側に転がるレンガ



左:石垣から突き出した階段、右:階段から石垣



左:海軍の標柱(円柱、頂上)、右:海軍の標柱(角柱、円柱の南側)



左:標柱(角柱)のある頂上付近、右:Aの東側の窪み



左:Aの南西側の石垣、右:Bの南側の石垣



左:Cの北側の通路東側、右側にも石垣がある、右:Cの北側の通路西側



左:石垣の材料?(B脇)、右:石垣の材料?(C脇)





北東端には2重の石垣構造がある。下の段には石で造られた礎石の跡もあり、何らかの建造物があったと思われる。
南側から西側と、石垣がまわっている。南側には下に下りる階段が石垣に突き出した形で造られている。ただ下にははっきりとした平坦地は無く、何の為の階段なのかはわからない。
尾根先の頂上付近は自然地形が残っており、頂上の西側(AとB)に砲座か何かを造ろうとした形跡が残っているが、工事途中のようで何だったのかははっきりとしない。また頂上とその南側には、海軍の標柱が円柱と角柱の2本建っている。工事が進んだ際に頂上が削り取られる予定だったのか、そのまま頂上が残される形になったのか、これもわからない。
またCの北側に通路らしきものが造られている。もしかしたらCの南側に何かできる予定だったのかもしれない。
まあよくわからない。




北部東側尾根西側



左:弾薬庫?、右:弾薬庫?の北側の石垣



左:弾薬庫?の西端(上から)、右:弾薬庫?の東端(中から)



左:平坦地D、右:平坦地Dの北側



左:平坦地Eにある井戸、右:平坦地Eの西側の石垣



左:平坦地E、右:北東に延びる尾根筋







尾根の西端には、井戸や弾薬庫?、何らかの施設跡と思われる平坦地がある。
弾薬庫?は尾根の南側斜面に掘削して造られている。東西10m、東半分は内側が石垣で西半分は石垣が確認できなかった。
平坦地Dは一番広く、北側には石垣がふいてある。草が酷くて礎石などは確認できなかった。
平坦地Dの北下には井戸のある平坦地Eがある。平坦地の端には石垣が組まれている。井戸付近に水槽跡と思われる方形窪地があったが写真が上手く撮れなかった。




北部西側






左:神社東端の斜面に転がるコンクリート片、右:尾根上の方形窪地東端



左:方形窪地


石鎚神社周辺にも、2、3遺構がある。
石鎚神社の東端斜面に、コンクリート片が幾つか転がっている。ごつくて鉄筋も通っており、この付近に大きな建造物があったことを匂わせている。
尾根上には方形窪地がある。内側に石垣は無いが、特に東側はエッジが鋭く残っている。また車道から登山道に分かれる辺りに、レンガ片が転がっている。





休山頂上の状況



左:頂上付近、右:北側のテレビ塔



左:南側のテレビ塔と展望台、右:展望台付近



頂上の平坦部は整備され、2基のテレビ塔と展望台が造られている。一通り回ってみたが、これといった遺構は見つからなかった。

6月4日に再訪した際に、南西に続く尾根を探索してみた(トップ地図の灰色点線範囲内)が遺構らしきものは殆ど無く、最南端部分の斜面沿いに作りかけの塹壕らしきものがあっただけだった。日清戦争時、この辺りに陸軍の臨時堡塁が築かれたそうなので、もしかしたら当時の塹壕跡なのかもしれない。
まあよくわからない。




石鎚山防空高角砲台
日付 呉海軍警備隊戦時日誌による記事
昭和19年7月 官房艦機密第3500号
98式10cm連装高角砲2基 新設工事中
昭和19年8月 98式10cm連装高角砲2基 官房艦機密第3500号に依り工事中
昭和19年9月 98式10cm連装高角砲2基 官房艦機密第3500号に依り工事中



石鎚山対空見張所
日付 呉海軍警備隊戦時日誌による記事
昭和17年4月 対空見張所新設工事S17.6.30竣工予定
昭和17年7月 休山軍用道路新設中
昭和17年8月 対空見張所 乙(未完成)
訓令官房機密第4255号(17.4.7)
昭和17年9月 特設見張所(照聴所を除く)、乙工事中
昭和17年11月 対空見張所工事中
昭和18年1月 付属見張所(乙工事中)
昭和18年2月 呉建機密第21号ノ106、対空見張所新設工事要領変更内報の件通知接受(18.2.22)
昭和18年7月 施本機密工第1514号(18.7.23)、対空見張所新設工事要領変更の件通牒接受
昭和18年8月 呉建機密第21号ノ539(18.8.7)、新営工事要領変更通牒の件通知接受
昭和19年6月 既設見張所
昭和19年7月 既設見張所
昭和19年8月 対空見張所 既設
昭和19年9月 石鎚山見張所は砲台完成まで三津峯砲台にて見張をなす
昭和19年10月 対空見張所 (同見張所完成迄三津峯山砲台に仮設中)
昭和19年11月 対空見張所 (同見張所完成迄三津峯山砲台に仮設中)
11月4日機密呉鎮守府命令第466号に依り石鎚山(一名休山)に対空戦指揮所構築を令す(呉鎮)
昭和19年12月 対空戦闘指揮所 構築中
昭和20年1月 対空戦闘指揮所 構築中
昭和20年2月 対空砲戦指揮所構築中、対空見張所
昭和20年8月31日 引渡:
96式管制器 4組 

用地:89050m2、建物:686m2



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