偽装? 防空高角砲台



呉と広周辺には、戦時日誌などの記録に残っていない砲台らしき遺構が数多く存在している。呉警備隊の戦時日誌が昭和20年2月までの記事しか残っておらず、工事中のものなのか偽装砲台として造られたものなのか不明であるが、引渡目録に武器が出てこないところを見ると、備砲は為されていなかったのは確かかと思われる。
そこで、これら正体不明の砲台遺構を「偽装砲台」としてまとめてみた。





烏帽子山 偽装砲台


右:米軍の航空写真(R462-12、国土地理院)




米軍の航空写真を見ると、烏帽子山聴音探照所の南東の尾根上に、円形窪地らしきものが5ヶ所ほど写っている。4門編成の砲台(指揮所や高射装置、測距儀などでプラス1されるから、合計5ヶ所)かと思われる。記録には一切出てこないので、偽装砲台もしくは工事中の砲台かと思われる。


日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
記録無し





高烏 偽装砲台


右:米軍の航空写真(M462-20、国土地理院)


米軍の航空写真を見ると、高烏防空高角砲台の西側にある尾根上に、3基の円形窪地を中心とした施設らしきものが写っている。
記録には一切無く、偽装砲台なのか工事中のものなのかは不明である。


日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
記録無し





吉松山 偽装砲台




米軍の航空写真、吉松山の南東尾根上(左右共にM144-A-4-16、国土地理院)


米軍の航空写真、吉松山南麓(M144-A-4-17、国土地理院)


米軍の航空写真、南麓の西側(左:USB15-R14-0075、国会図書館、右:M282-83、国土地理院)


米軍の航空写真、南麓の東側(左:M282-108、右:M282-83e、国土地理院)


米軍の航空写真を見ると、吉松山の南東の尾根上、南麓に4ヶ所の施設らしきものが写っている。
南東の尾根上のものは、円形窪地が3ヶ所連なっている。三津峰山や高烏の物とよく似ている。この尾根から南に下る尾根上のものは、3基の機銃座のようなものが写っている。
南麓のうちの一番西側にあるものは、比較的大きな円形窪地2ヶ所とそれらを繋ぐジグザグの塹壕から成っている。終戦1年後の航空写真を見ると畑に埋め戻されつつあるので、現在遺構は残っていなさそうだ。
南麓の東側の尾根上にあるものは、3ヶ所前後の円形窪地からなっており、三津峰山や高烏の物と似ている。ここも終戦1年後には半分埋められている。

以上、記録には一切無く偽装砲台なのか工事中のものなのかは不明である。


日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
記録無し





野呂山 偽装砲台? 特設見張所?


右:米軍の航空写真(M126-109、国土地理院)


米軍の航空写真を見ると、野呂山の膳棚山の頂上付近に、円形窪地や何かの施設らしきものが写っている。
記録には一切無く、偽装砲台なのか工事中のものなのかは不明である。


日付 呉海軍警備隊戦時日誌による記事
昭和17年3月 将来砲台建設要望
昭和20年8月31日 引渡 電波探信儀 未装1 (「野呂山」を後書きで「砲台山」と修正)





音戸 偽装砲台





米軍の航空写真(R462-5、M2_6-72、73)



米軍の航空写真を見ると、音戸防空高角砲台の南の尾根上に、1個半の円形窪地が写っている。音戸防空高角砲台の関連施設の可能性もあるが、偽装砲台の可能性もあるのでここにも載せておく。
記録には一切無く、偽装砲台なのか工事中のものなのかは不明である。


日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
記録無し





横路北 偽装砲台




米軍の航空写真、山頂部(左:M2-6-162、右:R462-37、国土地理院)



米軍の航空写真、南東部(M2-6-162、国土地理院)


米軍の航空写真を見ると、砲台山応急防空高角砲台(大空山)の北東の388mピーク付近とその南東の尾根上に、施設らしきものと幾つかのの円形窪地とが写っている。砲台とは関係ないものが写っている可能性もあるが、南東端の2基の円形窪地はしっかりと写っているので、こうした形状の何かがあるのは間違い無さそうだ。



日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
記録無し





灰ヶ峰東 偽装砲台


右:米軍の航空写真(R462-39、国土地理院)

米軍の航空写真を見ると、灰ヶ峰防空高角砲台の南東約1kmの標高630mピーク付近に、砲台のような円形窪地が2つと弾薬庫か何からしい方形窪地1ヵ所が写っている。
現在は電波施設の建設によって破壊されている上に、一般人は立ち入り禁止の場所になっているようである。


日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
記録無し





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