杉ヶ峠 防空高角砲台



米軍の航空写真(M124-19、国土地理院)


防空砲台 右:米軍の航空写真(M124-19、国土地理院)


左翼の聴音探照所 右:米軍の航空写真(M124-19、国土地理院)



右翼の聴音探照所 右:米軍の航空写真(M124-19、国土地理院)




米軍の航空写真を見ると、杉ヶ峠の南東側のピーク周辺と、杉ヶ峠の北側にある万福寺山の頂上付近に、幾つかの施設が写っている。どちらも現地で兵舎等の遺構が残っているとの報告がHPに見られるので場所は確かだろう。
昭和18年7月を最後に戦時日誌には出てこなくなる。工事中止になったのだろうか。




防空砲台

2012.4.14 探索

左:砲座平坦部、1基しか残っていない、右:砲座


左:砲座、右:砲座内部に土が詰められている


左:NTTの中継基地、右:砲座上部


左:砲側弾薬庫、右:砲側弾薬庫の内部

杉ヶ峠の南東、標高500m付近にあるNTT中継基地の北側の平坦地に砲座が1基のみ残っている。行った際には砲座の中が埋められ、逆に土塁部の土が剥がされていたが、2014年現在、中の土を外に出し、本来の姿に戻っているそうである。





右翼 聴音照射所

2012.4.14 探索



左:探照灯建屋A、右:同左、壁が完全に崩されている


左:探照灯建屋A、右:同左


左:探照灯建屋Aの屋上部、右:同左中央の探照灯基礎…と思われる出っ張り


左:指揮所Bを南東から、右:指揮所B


左:指揮所Bの屋上、右:同左中央にある管制機基礎


左:指揮所Bを北面、右:西面


左:南面、右:指揮所B西脇から探照灯建屋Aを望む


左:指揮所Bの北隣にある屋上への階段基礎、右:指揮所Bの天井部


左:指揮所Bの床面、何かの基礎、右:聴音機壕Cの近くから指揮所Bを




左:聴音機壕C、右:同左


左:聴音機壕Cの入り口、右:内部


左:聴音機基礎、アンカーボルトは全滅、右:すり鉢状


左:聴音機壕Cの北縁、右:内部


左:聴音機壕Cの西縁、右:探照灯建屋A脇から兵舎を見下ろす


左:貯水槽(1槽式、恐らく雑用水)、右:貯水槽(3槽式、恐らく飲料水)


左:水槽脇から探照灯建屋A方向を見上げる、右:兵舎平坦地D


左:兵舎平坦地D、右:瓦礫



探照灯の配置方法には、円形窪地内に配置、探照灯建屋の屋上に配置、円筒台座上に配置、車輪付きの探照灯をその度に引き出して使用、等の幾つかの方法があるが、この内の探照灯建屋に配置したものに関しては、その建屋の多くが鉄筋盗りの為に崩されて残っておらず、天井にどのように固定されていたか確認できていなかった。
そんな中、ルーラルさんのブログや工藤先生の周南の戦争遺跡から、杉ヶ峠の右翼側の聴音照射所のものが、まだ屋根が残っている事が判り、慌てて確認しに行く。


聴音照射所としては、比較的良く残っている。

聴音機建屋Aは、北側と東側の壁が崩されているが、天井は辛うじて崩れずに残っている。天井には草が生えてしまい探照灯基礎部分を覆ってしまっている為、状態を確認することは出来なかった(もっと大きな脚立を持って行っておけば、屋上に登る事ができたのだが、結果的に登らない方が良かったかもしれない)。
床面も丁寧に崩されており、アンカーボルト類の確認も出来なかった。


指揮所Bは、呉周辺で良く見られる指揮所とは異なった形状をしている(光砲台もこのタイプらしいが、あそこは普通では見に行けない)。天井には中央に管制機基礎、四周に手すりの取り付け基礎がある。建物の北側には、天井へ登る階段の基礎と思われるものがある(良くある屋外型の非常階段のようなものがついていたのではないかと思われる。内部は床の一部に基礎らしいものがある。天井は鉄筋盗りで表面のコンクリートが剥がされ、鉄筋がむき出しになっている。


聴音機壕Cは、典型的なものである。中央に基礎があるが、アンカーボルトは全て盗られている。


尾根の南西下に兵舎平坦地Dがある。斜面に1槽式と3槽式の2基のコンクリート製水槽がある。平坦地は半分以上が草で覆われて地表の詳細は良くわからないが、あちこちに瓦礫が転がっている。西斜面には本来の軍道と思われる道の跡が九十九折に降りている。


他に、発電所と貯水池があった可能性があるが、現在のところ不明である。





日付 呉海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和17年1月27日 官房艦機第1152号
昭和17年8月 89式12.7cm連装高角砲3基 工事未着工
95式射撃盤1、94式4.5m測距儀2 未
96式150cm1型陸用探照灯及管制器2型2 未
仮称ヱ式空中聴音装置2 未
12cm高角双眼望遠鏡5 未
昭和17年9月 工事施工内報
昭和17年11月 防空砲台工事中
昭和17年12月 竣工予定S18.3.31
昭和18年1月 防空砲台工事中 徳山支隊
昭和18年2月 防空砲台工事中
昭和18年3月 防空砲台工事中
昭和18年4月 防空砲台工事中
昭和18年5月 兵器取付中
昭和18年6月 8月下旬完成予定
昭和18年7月 工事中
昭和18年8月 官房機密第206号(18.8.2)、新設工事要領変更の件訓令接受
施本機密第1566号(18.8.24)、新設工事要領変更の件通牒接受
昭和18年9月 防空砲台工事中
昭和18年10月 防空砲台工事中
昭和18年11月 防空砲台工事中
昭和20年8月 引渡:
用地:68004m2、建物:145m2





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