倉梯山 防空砲台





左:米軍の航空写真(M879-173、国土地理院)


東舞鶴市街の東側にある倉梯山に防空砲台があった。地図には旧軍道が記入されているものの、舞鶴の登山関連のHPの記録によると現在藪に埋もれており、北西を走る電線の鉄塔道から尾根伝いに寄せるしかないようである。ただし遺構は残っている模様。

米軍の引渡目録によると、火器管制塔というものがある。これは昭和15年頃の防空砲台によくある、高射器等を装備していたと思われるレンガ製の建物の事だろうか。(資料も殆ど無く、またこうした建物は崩壊しているものが多くて高射器や測距儀の基礎と思われる跡を確認できておらず、実際にどうだったかは不明である。呉の倉橋島の町史に、亀ヶ首防空砲台に関して、レンガ製の建物の内部に照準関連の機械があったという記述があるのみ)
また同リストに探照灯格納庫というものもあるが、呉の大平山防空砲台付属の聴測所のように移動式の探照灯が配備されていたのだろうか。



日付 舞鶴海軍警備隊戦時日誌及び引渡目録による記事
昭和16年12月 工事中 3月末完了予定
昭和19年1月 工事中 射撃可能 電路未完
昭和19年2月 工事中 電路以外完成
昭和19年3月 高角砲覆、電路の他完成
25mm機銃を3/11に中山砲台へ移装
昭和19年4月 探照灯基礎工事完成、電路完成
昭和19年5月 探照灯・聴音機、各1装備完了
昭和19年6月 高射器装備完了
昭和19年8月 探照灯、発電機、変圧器、配電盤の地下への移設工事
昭和19年9月 空山の60KVAディーゼル発電機を移装工事中
昭和19年10月 配員:6、21、154(准、下士官、兵)
昭和19年12月 12/22約18機侵入、2発発射、戦果及び被害無し
昭和20年1月 8cm高角砲8門(分散格納)を倉梯及び五老に装備中
60KVAディーゼル発電機、移装工事完成
昭和20年2月 8cm高角砲8門(分散格納)、装備完了
昭和20年4月 4/2敵1機侵入、12.7cm砲8発発射、戦果及び被害無し
昭和20年5月 25mm機銃、13mm機銃
昭和20年?月 米軍第33師団の報告書(WOR46694 G-2 Periodic Report No.46、国会図書館):
40口径12.7cm連装高角砲2、12.7cm高角砲装填演習砲1
40口径8cm高角砲3、8cm高角砲砲身1
12.7cm高角砲通常弾623、装填演習弾34
8cm高角砲通常弾144、8cm高角砲訓練弾2
時限信管767、伝火管767、電気火管?665、撃発火管330(砲種は不明)
高射器1、4.5m高角測距儀1、12cm高角双眼鏡1、8cm高角双眼鏡1
火器管制塔(?)1
25mm単装機銃4、25mm連装機銃2、25mm機銃弾薬箱38、弾倉44、訓練弾125
13mm連装機銃1、13mm単装機銃2(リストでは13mm機銃架台14)
13mm機銃弾薬箱142、弾倉227、機銃弾1418
150cm探照灯(管制器、付属品)2
直流発電機(17.6KW 88V)1
直流発電機(7.6KW、38V、17.6KWと88Vの誤記かもしれない)1
交流モーター(11KW 220V)2
聴音機2
60KVA交流発電機(制御盤、付属品)1

施設リスト:
付属兵舎1、探照灯格納庫1、モーター室
分散弾薬庫2、変圧器室1、水ポンプ室1


(舞鶴市市史編纂だより):
89式12.7cm連装高角砲2基、8cm高角砲4門
12.7cm高角砲装填演習砲1門
13mm連装機銃4基、25mm機銃8基



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