蓋井島 北東地区洞窟砲台


2013.11.23 探索
2014.3.23 2度目の探索



右:米軍の航空写真(M731-A-75、国土地理院)



右:1975年頃の航空写真(CCG7412-C26-4、国土地理院)




蓋井島の北東部、角ヶ崎と賢女ノ鼻の間にある断崖に、2基の洞窟砲台と、その付属施設らしきものがある。

2基の洞窟砲台は北に落ちる崖に、少し離れて築かれている。斜面は乞月山の洞窟砲台よりかは緩やかだが、それでもルートを選び、木を掴みながらでないと行けない。東側の砲座は磯釣り客のビバークポイントとして有名であり(売店の店主談)、内部に空き缶や空き瓶が散乱している。磯から崖を伝って登ってくるらしいのだが、崖を見る限り、とても信じられない。2基共に工事途中で放棄されているが、東側はコンクリートで壁面を作りかけており、工事が進んでいたようである。

それぞれの砲座の崖上には、観測所らしき遺構が残っている。西側のものは構造から恐らく観測所だと思われるが、東側のものは立派な石垣で組まれた建物基礎のようであり、用途は判らない。これらの遺構から、ケーブル類を埋めていたと思われる溝が何本か出ている。
それぞれの砲座の反対側には、崩落した地下壕入り口が残っている。砲座へと繋げる予定だったと思われるが、貫通した気配は無い。また東側の砲座のものの方が大きく、それだけ工事が進んでいたものと思われる。












日付 記事(特記以外、現代本邦築城史より)
昭和20年2月下旬 第1期作戦準備 第1次15cmカノン陣地の築城(キ号演習)[1]
島内の2ヵ所(乞月山第1中隊107名、北東地区第3中隊105名)で洞窟砲台工事開始
昭和20年5月下旬 海岸陣地帯構築作業(ケ号演習)[1]
島内の2ヵ所の工事中止、火砲は浅川と山田へ

[1] 下関要塞守備隊戦史資料(防衛省戦史資料室、本土-西部-145)













左:観測所Aを東端から、右:東側の窪地と北側の土塁



左:観測所Aの真ん中の窪地を東から、右:西端から東方向を



左:観測所Aから伸びるケーブル溝、右:崩落した地下壕B…だったと思う



左:東へ伸びるケーブル溝、右:南下の平坦地






左:観測所?Cの南西隅の石垣、右:石垣の西面



左:南面の意思外を上から、右:南面にある石垣の窪み



左:窪みを下から、右:窪みの下にあるレンガ構造物



左:観測所?Cから南西に伸びるケーブル溝、右:観測所?Cの石垣の東面



左:観測所?Cの南面の石垣、右:同左続き



左:崩落した地下壕Dを東上から、右:同左を南下から




尾根上から南斜面にかけて、観測所とそれらを結ぶケーブル溝、崩落した地下壕がある。
 西側のAは、形状から観測所と思われる。2ヶ所の直径2m弱の空間と、それを囲む土塁がある。東と南とにケーブル溝が延び、それぞれ南下の平坦地へと続いている。また観測所Aの東から九十九折に道が降りており、その途中に崩落した地下壕Bがある。これは尾根の反対にある洞窟砲台Eへ繋げる予定のものだったのではないかと思われる。

 東側のCは、観測所かどうか不明である。四周が石垣の長方形の平坦地で、南側に1ヵ所窪みがあり、その下にはレンガ構造物があることから、少なくとも明治以降の遺構であることが判る。Cの南東斜面に崩落した地下壕Dがある。尾根の反対側にある洞窟砲台Fへ繋げる予定のものだったようで、かなり大きく、大分掘り進んでいたものと思われる。またCからもケーブル溝が延びている。







左:洞窟砲台Eを東上から、右:洞窟砲台Eの正面



左:洞窟砲台E、右:同左内部



左:砲架基礎の為の掘り込み、右:同左を横から



左:連絡通路は少しだけ掘りかけ、右:内部から外を



左:西壁面、右:東壁面



左:砲台正面西側、右:東側



左:再び内部を、右:外の壁面西側






左:洞窟砲台Fの正面、右:同左内部



左:上側、右:内部



左:内部東側、右:内部西側



左:奥面、連絡通路は掘りかけというようりも当たりをつけただけ、右:内部から外を、砲架基礎の掘り込みは無い



左:東側の壁面、右:同左南端



左:西側の壁面、右:鉄筋代わりの石



左:内部西側、右:内部東側



左:内部に落ちていた鉄筋、右:正面平坦部



左:正面東側の壁面、右:砲台から東へ上がる道?




 北の斜面に、東西に少し離れて洞窟砲台EとFとがある。どちらも幅は6〜7m。EはAの、FはCの、東から回り込むと何とか回れる。

 西側の洞窟砲台Eはコンクリート打ちがされていないものの、砲架基礎の掘り込みまでは行われている。
 東側の洞窟砲台Fはコンクリート打ちがされているものの、砲架基礎は掘りこまれていない。コンクリートには鉄筋が使われておらず、石が用いられている。床に1本だけ鉄筋が落ちていたが、工事のためのものかはわからない。空き瓶や空き缶などのゴミが散乱しているが、これは港近くの売店の店主の話によると、磯釣り客がここをビバークに使っているからであるらしい。砲台の東側の斜面に工事用の細い道があるが、砲台の近くで不明瞭になる。











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