米軍野戦食 3rd 前編(N0.1〜No.12)
2003年4月12日更新



米軍の野戦食糧はMeal Ready To Eat、略してMREと呼ばれている。ベトナム戦争頃までは缶詰だったものを、持ち運びし易いようにレトルトパックにしたものであるが、それから30年近い内に、色々と改良が重ねられてきたようである。
前回食べたのは、MREの2代目。今回は沖縄旅行中にオードナンスという軍用品放出店で見つけた3代目。湾岸戦争後に作られた物で、2代目から色々な面で改良が加えられている。
ヒーターの改良。石灰から酸化鉄を使った物に代わる。
・ベジタリアン用メニューが加わる(メニューNo.11〜No.14)。
・栄養分、原材料、添加物の表示の詳細化
・メニューが24種類まで増える。また、多少美味しくなる。
・主食は同一だが、副食物が箱によって同一で無く、メニューに変化を加えた。
アクセサリーキットが5種類になった。
などが挙げられる。
代わらない所はと言うと、
・相変わらずメニューのバランスが悪い。
というところだろうか。とにかく容積や質量を押えながらカロリーを上げる為に、やたらと甘い物が多くなっている。特にベジタリアン用メニューはそれがひどい。また甘いものは甘い物でも、やたらとチョコレートに偏っているものあった。
とにかく、それでも前のシリーズよりかは増しである事には変わりはなく、このまま色々な進化を遂げて欲しいものである。


レーションの入っている
こう言うのも大人買いと言うのだろうか。

メニューNo.13〜No.24まで


メニュー
 
Menu No. 全体図
盛り付け図
内容 解説
No.1
GRILLED
BEEFSTEAK

1090kcal



・ビーフステーキ
・メキシコ風ピラフ
ビーフジャーキー
・ピーナツバター
・クラッカー
・粉末ジュース(チェリー)
キャラメルバー(2本)

ビーフステーキとか言いながら、自らの肉汁で煮込まれたような状態になっている。味はポークハムのようなコンビーフのような良くわからない味になっている。煮込みハンバーグにでもしておけば良かったのではと思う。
メキシコ風ピラフはチリ風味のピリ辛ご飯。味付けは良いのだが、試食の際に温めるのに失敗したのでポロポロで不味かった。
ビーフジャーキーは普通のビーフジャーキーなのだが、メインのステーキと被る上に、ただでさえ喉が乾くメニューに塩辛いものはどうかと。肉体労働に塩分が必要としてもねぇ。ピーナツバターとクラッカーは相変わらずマトモである。反対にジュースとキャラメルは相変わらずアメリカンで不味い。

No.2
BONELESS
PORK CHOP

1250kcal



・ボンレスハムの
ジャマイカ風煮込
ヌードル入り
・リンゴのシナモン煮込
・パウンドケーキ
・ベジタブルクラッカー
・チーズスプレッド
・粉末ジュース(オレンジ)

・ハムの煮込はエスニックな味付けで、味の単調なハムを美味しく食べる事が出来た。3rdでは他にもこういうメニューが多くなっており、肉食国家だけあってボリュームのある肉は外せない、しかしそのままだと味が単調というジレンマを上手くこなした様である。
・リンゴの煮込はアップルパイの中身そのままであり、クラッカーに載せて食べると美味しかったが、そのまま食べるにはちょっと甘味が強過ぎる。
・パウンドケーキは以前のバージョンの時と変わらず。少し粉っぽいので、出来る事なら日本のカステラのようなもう少し湿り気のあるものにして欲しいが、保存技術の壁もあるのだろうか。
・チーズスプレッドも相変わらずである。塩辛くて少し臭みがあるので日本人にはちょっと辛い。クラッカーはベジタブルクラッカーと言う、少し赤みのかかったものだった。人参とか入っているのだろう。

No.3
BEEF
TERIYAKI

1260kcal



・牛肉の野菜入りテリヤキ
バターライス
・クラッカー
・苺ジャム
チーズクラッカー
ピーナツバター挟み
・粉末ジュース
(レモンライム)
・キャンディ(CHARMS)

・砂糖醤油味をテリヤキというのはわかるが、全然和風さを感じさせないアメリカカンな味付け。まあ食えるだけましなのだが…
・バターライスは不味かった。No.4に入っているヌードルのバターソースくらい不味い。いや、米がパサパサシている分こっちが駄目だ。日本のレトルトご飯の技術はやはりすごいもののである。
・苺ジャムは初登場だがなかなかいけた。しかしチーズクラッカーのピーナツバター挟みは何とも表現し難い味だった。袋から油も洩れ出していたし、もしかすると後で腹を下すかもしれない。
・キャンディ(CHARMS)は相変わらず。一体誰が食うんだ、こんな合成着色料の塊。

No.4
HAM
SLICE
1240kcal



・ハムスライス
・ヌードル、バターソース
・野菜クラッカー
・ハラペーニョ入り
チーズスプレッド
・粉末ココア
・粉末紅茶(レモン)

・ハムスライスはボソボソのハムである。ソースか何かで煮込んでくれれば美味しいのかもしれないのだけど。
・ヌードルは不味い。塩胡椒を振って何とか食えた。せめてトマトソースにくらいして欲しい。
・ハラペーニョ入りチーズスプレッドは、名前の通り辛いのだが、おかげでチーズの臭みが消えて普通のスプレッドよりも美味しかった。

No.4 その2
Country
Captain
Chicken

1070kcal



・鶏肉ミンチフライの
カレー風味ソース煮込
・ヌードルのバターソース
・ベジタブルクラッカー
・ピーナツバター
・粉末ココア
アメリカ風ポン菓子

・カレー風味と書かれているが日本のカレーとは違う味付けで、スパイス多めのエスニックな味付け。また鶏ミンチフライと書かれているものの、どちらかというとチキンナゲットという感じか。味はなかなか美味しかった。
・ヌードルは最悪で、そのまま食って吐きそうになった。恐らく鶏料理に入れて食べるものなのだろうが、気がつかずに先に鶏料理を食べてしまったので地獄になる。
・クラッカー、ピーナツバター、ココアはいつものまま。アメリカ風ポン菓子は、そのままの通りの菓子で、市販品を「MARSHMALLOW CEREAL TREATS」と書かれた袋でオーバーパッキングしている。味はまあまあだが、少し湿気ている様な気がした。

No.5
GRILLED
CHICKEN

1150kcal



・鶏胸肉の網焼
・メキシコ風ピラフ
・クラッカー
・アップルゼリー
・パウンドケーキ
・粉末ココア
アイスティー

・鶏胸肉は脂もなく、肉汁も出切ってしまっているので、あまりぱっとしない。同じ鶏胸肉でも何かのソースにからめた方が美味しく食べられるだろう。メキシコ風ピラフはNo.1と同様。今回は工夫して全体的に温まる様にしたところ、多少味が良くなる。冷えたままだと辛い。
・アップルゼリーは前のバージョンと同じで、どちらかと言うとゼリーと言うよりジャムだろう。パウンドケーキもNo.2と同様。
・アクセサリーパックがこれまでのと少々違い、粉末アイスティーと粉末アップルソーダが入っていた。アイスティーは薬品臭かったが、それでも粉末ジュースよりかはましである。
全体で見ると、明らかな野菜不足に見えるが、その点は大丈夫なのか。もしかしたら奴らの事だから「米は野菜だ」とか言い張る気かも。

No.6
CHICKEN
WITH
NOODLES
1140kcal



・鶏肉と野菜とヌードルの煮込
パン
菓子(イチジク)
・ピーナツバター
・粉末ココア
・アイスティー他

・鶏肉と野菜、ヌードルの煮込はいつも通り。まあ普通に食える。それにしても煮崩れた鶏肉の食感はシーチキンそのものである。
・パンは初登場。パンと言っても厚さはクラッカー2枚ほどの厚さなのだが、一応軟らかい。味も含めて、葡萄パンを押し潰したような感じであろうか。元名は「WHEAT SNACK BREAD」である。
・菓子も初登場。ドラ焼きのカステラ皮でイチジクの実で作った餡を包んだ、まるで和菓子のようなものだった。味も観光地の土産物屋にありそうな味だった。元名は「FIG BAR」である。
・他は一緒。

No.7
CHICKEN
WITH
SALSA
1290kcal



・鶏肉のサルサソース
・メキシカンライス
クッキー
・クラッカー
・ピーナツバター
・粉末ココア

・鶏胸肉がトマト、ピーマン、タマネギといった大量の野菜で煮込まれている。ボリュームがかなりあって良かったが、味付けは今一つだった。ナチュラルな味付けと言ってしまえばそれまでのことだけど。
・メキシカンライスはいつもの通り。今回はうまく温められたので美味しく食べられた。
・クッキーはナビスコの製品が入っていた。至って普通のクッキー。
・クラッカー、ピーナツバター、ココアはいつもの通り。ここまで続くといい加減に飽きてくる。

No.8
CHICKEN
AND
RICE
1240kcal



・鶏と米の煮込
・ベジタブルクラッカー
・ピーナツバター
・チョコケーキ
・粉末ジュース(オレンジ)

・鶏と米の煮込は、どちらかと言うと鶏肉入り雑炊と言った感じ。あまりぱっとした味付けでもなく鶏肉もボロボロで、あまり嬉しいものではなかった。
・ベジタブルクラッカーはあまり美味しくはない。これなら普通のクラッカーの方が増しだ。
・チョコケーキは、前のシリーズでもピカ一の美味しさだったが、今回もあまり変わらないままの物が入っていた。原名で「Fudge Brownie」と言うだけあってチョコが濃く、パウンドケーキを入れるくらいなら全てこれにして欲しいくらいである。
今回のメニューにはサブメニューが入っておらず、全体的にはちょっと物足りなかったが、カロリーを見るに入れ忘れというわけではなさそうだ。

No.9
BEEF
STEW
1301kcal



・ビーフシチュー
・クラッカー
・チーズスプレッド
・ピーナツ
・M&M(プレーン)
・粉末ココア
・粉末ジュース(レモンライム)

・ビーフシチューはどちらかというと出来損ないの肉ジャガという感じで、肉の量は多いものの味付けはぼやっとして、それほど美味しいというものでもなかった。もう少し嬉しくなるような味付けには出来ないものなのか。
・チーズスプレッドは前回の物よりも気のせいか若干色も味も薄かったようだ。その分美味しかったが。
・ピーナツはピーナツそのもの。おかずと言うよりツマミで、M&Mと一緒に取っておいて後で食べる為なのか。M&Mは今回のシリーズでは初登場。あまり嬉しくは無いが。

No.10
CHILI
AND
MACARONI
1100kcal



・ミートソース(マカロニ)
・野菜クラッカー
・ピーナツバター
・芥子の実入りレモンケーキ
・粉末ココア

・ミートソースは以前のバージョンと同じく美味しい。ただこれと同じ味付けが繰り返されるとすぐに飽きてしまう味でもある。
・レモンケーキはパウンドケーキにレモン香料が入っただけと言う感じで、それほど感動もない。
・後はいつも通り。

No.11
PASTA
WITH
VEGETABLES
(VAGETARIAN)
1060kcal



・野菜パスタ
・フルーツミックス
グラノーラバー
・クラッカー
・ピーナツバター
・スニッカーズ マンチ
・粉末ココア

・野菜パスタは野菜だけで、何ともそっけない味である。やっぱり肉類は必要である。
・フルーツミックスは、缶詰のあれである。後味は相変わらずしつこくて悪い。ただ、以前の乾燥物よりかは何十倍も増しではあるが。
・グラノーラバーは「押し潰した燕麦、ナッツ、ドライフルーツ、赤砂糖を混ぜて小粒にした朝食用シリアル」とある。味はそっけないが、ただのクッキーやチョコレートが入っているよりかは増しだ。
・スニッカーズ マンチはナッツ丸出しのスナックである。ゲロ不味。何か塗料の味がして、さすがに参ったので2口で食べるのを止めた。

No.12
Beans & Rice
Burrito
(VAGETARIAN)
1150kcal



・小豆と米のブリトー
・パイナップルのシロップ漬け
フルーツバー(キイチゴ)
・野菜クラッカー
・ピーナツバター
・スニッカーズ マンチ
・粉末サイダー
・粉末レモン紅茶

・トマト味の小豆と米が入ったブリトーは、複雑な味だ。ベジタリアンはこんなけったいな物を食べているのか。皮もブリトーと言うよりヤツハシの皮みたいで、とにかく重い。保存の為に水分が少なく、おかげで粉末飲物を2杯も飲む羽目になった。
・パイナップルは缶詰そのままだが、日本のに比べると不味い。
・フルーツバーはNo.6のイチジクの菓子と同様で、ドラ焼きの皮のようなカステラ地にキイチゴの餡が巻かれている。ほどほどだが水気が欲しくなる。

 
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