足摺 特設見張所 北部電探施設群(電探北)




全体図







左:電探施設Fを南下から、右:電探施設Fを南から


左:Fの南側の見張所、右:地下室の南側の入り口


左:地下室の上にある13号電探用の穴?、右:同左


左:地下室内部、右:同左天井、穴は西側に偏っている


左:電探施設Fの北側、右:Fの北にあるコンクリート基礎を北東から


左:コンクリート基礎、右:同左


左:基礎の北の通路、右:同左奥から地下室入り口までの通路


銃座Hから更に尾根を北西に登ってゆくと、電探施設Fがある。南に見張用の窪地と、真ん中に地下室、北側にL字型の幅約1mの通路と仏塔のような形をしたコンクリート製基部とがある。地下室はGと同じくらいの大きさであり南北に出入口がある。ただこちらは地下室の上に一辺約25cmの正方形の穴が開いている。資料2に同じような穴が電探の電線を通した物として出てくるので、その為の穴かもしれない。仏塔のような基部は、円形の直径が約15cm(上部)と約50cm(下部)、穴の大きさは直径約7cm、基礎の一辺は約70cm(台形下部)と約1m(方形)である。上に開いた穴の位置は偏っているが何故こうなっているのかは不明である。下記のWにも同様の基礎があるが、用途はいまいちわからない。Fでしか見つかっていなかった時には引渡目録内にあるE27受信機(逆探知用)のものかと思っていたが、リストには1基しかないものの基礎が2つ見つかってしまうとなると、その可能性はかなり低くなる。









左:地下壕Xの西側入り口、右:同左入り口付近


左:地下壕X(西側入り口付近)、右:中央部、東側と高低差がある


左:地下壕X、中央部段差部を東側から、右:東半分にある北への分岐


左:分岐を東側入り口付近から、右:東側入り口


左:地下壕Xの東側入り口を北西上から、右:地下壕?Yの北裏の出っ張り


左:地下壕?Yの入り口を北上から、右:Yの入り口のコンクリート部


電探所Fの真下に、東西約50m程の地下壕Xが掘られている。幅は3m弱、東側と西側とで高さが違い、東側が低くなっているが、これは両側から掘り進めて行き違っただけかと思われる。東側には北に向かって2本の分岐があるが、どちらも少し掘った所で止まっている。ここが証言に出てくる地下壕かと思われる。用途は今となっては不明だが、幅が地下施設の標準幅(資料3では幅が2.5mとなっている)に近いことと北に分岐が作られていることから、ただの通路ではなく西下にある指揮所?Dをここに移設する目的で掘っていたのではないかと推測される。

地下壕Xの東側の入り口から、南に向かって斜面を登る道がある。その先に出っ張りがあり、その南側は北に向かって窪んでいる。この窪みYにはに地下電探所の入り口の上部に似たコンクリート構造が辛うじて見えており、地下壕の入り口が埋まっているのかと思われるが、掘ってみないと判らない。
仮にこれが地下壕の入り口だとすると、この付近の尾根の地下一帯に地下トンネル網が掘られていたか、もしくは掘る予定だったのかもしれない。









左:226mの標準点にある平坦地、右:同左にある電探基礎V


左:電探基礎V、右:同左のアンカーボルト


左:Vのある平坦地を北西側から、右:同左の足元にある玉砂利


左:溝N、右:コンクリート基礎W


左:Wの南付近に転がる陶器製の碍子、右:同左の東上付近にあったワイヤー端部


電探所Fの西下を南北に走る軍道?を北に登ると、226m標準点付近に平坦地がある。以前の探索時には気がつかなかったが、草や土をどけると下からコンクリート製の基礎Vが現れた。
基礎Vには直径約3cmのアンカーボルトが8本、約81cm間隔で並んでおり、対角の間隔が約212cmなので、資料1に出てくる2式1号1型のアンカーボルトの並びとほぼ一致する為、この基礎Vは2式1号1型の基礎ではないかと推測される。共同アンテナの工事の為か、幾つか割れて破片になっている。

電探基礎Vの南下には、溝Nがある。用途は良くわからないが、電探の関連施設かと思われる。

また溝Nの西下付近に、コンクリート基礎Wがある。上記の電探所Fにある基礎と同じものだが、用途は不明。
またこの付近には、陶器製と思われる茶色の碍子が4個と、ワイヤーを張る際にアンカーとして斜面に植えられた端部とが残っている。電線を張る際に使用していたのだろうか。









2010.4.6 追記


左:電探基礎V、撮影の為に基礎の角にポールを建てている、右:同左を北西から


左:電探基礎Vの溝、右:Nさんのスケッチ


Nさんから電探基礎Vの写真を送っていただいた。
再度、電探基礎Vに行き、基礎を覆っていた土を全て剥ぐと、下から八角形のコンクリート基礎が現れたそうである。
場所が場所なのでコンクリートを水で洗う事もできなかったのでこれが限界だったそうだが、何度が雨が降れば、南側の電探基礎のように綺麗になるかもしれない。

Nさん、ありがとうございます。






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資料:
(1)「電波探信儀及電波探知機装備工事心得(案)」 A03032172600
(2)「特設見張所(戊)(兵装)施設標準」 防衛省戦史資料室 資料番号不明
(3)「築城隧道(小型)計画基準」 防衛省戦史資料室 E技術 土木建築 455






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