食い倒れ帳

蕎麦プリン その1


メインページの方がリニューアルされているのに、半年以上更新が無いと言うのもあれなので、まとめて書こうと思っていたネタを小出しにしてみることにする。せこいけど、最近はあまり面白い物も食ってないし、自炊もあまりしていないので、悪しからず。


○蕎麦プリンとの出会い

茅野市蓼科のみつ蔵で、蕎麦プリンというものを食べた。初めは村興しメニューの失敗作に良くあるようなゲテモノメニューを頼んだつもりだったのだが、ゲテモノなんてとんでもないような美味しいプリンだった。
薄っすらと蕎麦色のプリンには蕎麦の味はしないものの、蕎麦の香ばしい香がしっかりと付いていて、まるでバニラエッセンスのようにプリンそのものの味を引き立てていた。目から鱗の思いである。こういう蕎麦の香の活かし方を良く思いついたものである。
あまりに気に入ったので一つでは足らず、味見をして気に入った同行者2人と3人ですぐに追加注文を入れて二つ目を食べる。しかしそれでも足らず、三つ目を頼もうとしたが、数に限りがあるものを独り占めしているような引け目もあって、それで止めておく事にする。
しかし、もう一度食いたい。いや、好きな時に食いたい。ところが注文時にゲテモノを想定していたように、市場で「蕎麦プリン」というものを見た事が無い。南瓜や人参といった物は売られているが、しかしここの蕎麦プリンほど美味しい物は食べた事が無い。ああ、食いたい。蕎麦プリンの事で頭が一杯になった。
その時、ふと「無ければ自分で作れば良いじゃないか」と思いつく。プリンならプリンの素を使えば楽に作れるし、卵から作るにしてもケーキほど手間がかからない。そうとなると居ても立っても居られず、 早速店のおばさんの手が空くのを待って、駄目元で作り方を聞いてみた。すると、案外と気さくに色々と話をしてくれたので驚く。これなら根堀り葉堀り聞いてしまおうと画策するが、店の方が忙しかったので結局重要な事は以下の二つしか聞く事が出来なかった。
(1)蕎麦を煮出して香を付けた牛乳で作る
(2)蕎麦茶でもできる

そこでみつ蔵の会計の時に蕎麦茶を、また最後に立ち寄った蕎麦工場で蕎麦米として売られていた蕎麦の実を購入し、翌週の週末に早速試してみる事にした。



○蕎麦プリンの基本スキーム

「煮出す」というヒントに、トルコティーが思い浮かんだ(トルコティーは牛乳に紅茶の葉を直接入れて煮出したミルクティー)。買ってきた蕎麦の実と蕎麦茶を牛乳に入れて煮て香を出し、蕎麦の香の付いた牛乳でプリンを作るという線で試みる事にした。


○材料

・蕎麦の実


蕎麦飯用に売られていた生の実。蕎麦粉だと煮溶けてしまうので、実にする

・蕎麦茶


みつ蔵で売られていたもの。蕎麦の実を煎ったものがパックに入っている

・プリンの素


初回という事もあって市販品で手軽に作る事に。一応「牛乳で作る」ものを選択

・牛乳



○作り方
(1)牛乳250ml当たり、蕎麦の実大さじ2、蕎麦茶ティーバック2(大さじ2)を其々入れて10分ほど煮立てる。
(2)蕎麦の実と茶を漉した牛乳にプリンの素を入れて、少し煮てから冷やす。



左:蕎麦の実で作ったプリン、右:蕎麦茶で作ったプリン


○結果

蕎麦の実の方は、一応蕎麦の香がかすかにするものの同時に生臭さも移ってしまい、良くわからない味のするプリンになってしまった。蕎麦茶の方は香ばし過ぎて蕎麦というよりも紅茶の味になってしまい、コーヒープリンに近いものになってしまった。結局、どちらのプリンも、お世辞にも美味しいものでは無かった。早い話、失敗だった。


○失敗の原因と次回の為の考察

・蕎麦茶が失敗したのは、どうも濃く煮出しすぎたのが原因の一つであったように思われる。ティーパックの匂いは蕎麦プリンのそれに近いので、量を半分に、また時間も半分くらいにして煮出してみると良いかも知れない。
・蕎麦の実が失敗したのは、生の実を煮出したのが原因だと思われる。一度軽く煎って火を通してから煮出すと良くなるかも知れない。また茶と同様に、あまり時間をかけると駄目なのかも知れないが、といって蕎麦の香が移らなければならないので、難しいところである。
・また、手を抜いてプリンの素で作った事も原因の一つかも知れない。市販の蒸しプリンとは違うものであり、蕎麦プリンのような繊細な味のものを作るには向いていない可能性もある。と言って蒸して作るのも面倒なので、次回失敗したらハンドメイドで行く事にしたい。




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