スタンダード(犬種標準)  

繁殖について スタンダード(犬種標準) 遺伝性疾患と検査

スタンダード(犬種標準)って、何?

スタンダードは純血種の理想的な姿を記載したもので、同じ犬種でも国や畜犬団体でそれぞれスタンダードを決めています。、ここでは、一番詳しく素人にも分かりやすいアメリカケンネルクラブ(AKC)のスタンダードを紹介します。あなたの愛するコーギーとは一体どんな犬なのでしょう。

ペンブロークウェルシュコーギークラブ オブ アメリカ(PWCCA)が作成したAKCのスタンダードは、外観に始まって、サイズ、頭部、首、トップライン(背線)、ボディ、尻尾、前脚部、後脚部、被毛(コート)、色、歩様(歩き方)、性格など、多岐にわたって細かく記載されています。以下にあげるものはほんの一部ですが、全文はこちらに掲載されていますので、ぜひ読んでください。詳細な記述はちょっと読むのが大変かもしれません。また分かりにくい用語もあるかもしれません。
PWCCA発行の"The New Illustrated Study of the Pembroke Welsh Corgi Standard(ウェルシュコーギーペンブローク犬種標準新図解教本)"は、CG画像とイラストを多用してスタンダードを分かりやすく説明しています。これに日本語の翻訳をつけた対訳本は、こちらで購入できます。

体高 地上からキ甲(肩甲骨間の隆起の上の最も高い所)まで
25.4cm〜30.48cm。
体重 牡犬は13.5kg、牝犬は12.6kg以下。
(PWCCAでは規定していませんが、イギリスのウェルシュコーギーリーグ(WCL)のスタンダードは、サイズの下限も規定しており、牡犬約10-12kg 、 牝犬約9-11kg。)
長さ キ甲から尻尾の根元までの長さは、体高のおよそ1.4倍。
頭部 眼は楕円型で、色は毛色と調和した茶色のバリエーション。目のふちは暗色で、黒の方が良い。真っ黒の目は黄色や青色同様望ましくない。
後頭部からストップまでの長さとストップから鼻先までの長さよりは5:3。
鼻と両耳の先端ほぼ正三角形を描く。
トップライン 水平でしっかりしており、後に向かって上がっても下がってもいけない。
断尾、または5.1cmまで。
被毛 中くらいの長さで上毛と下毛からなる。フラッフィーは重大な欠点。
レッド、セーブル、フォーン、トライ。白は、脚部、胸、首(一部または首まわり全体)、マズル、腹部、頭部の狭いブレーズ部分にあってもかまわない。
ミスカラー、ブルーイー、ホワイトリーは重大な欠点。
性格 穏やかだが、大胆。攻撃的ではない。

スタンダードを完璧に満たすコーギーはほとんどいないと言っていいでしょう。欠点を除外しながら好みのタイプの理想的なコーギーを作出するために、シリアスブリーダーは長い年月お金と手間を掛けて心血を注ぎますが、なかなか思ったようなコーギーはできないようです。そこに繁殖の難しさがありますが、繁殖の楽しみでもあります。このようなシリアスブリーダーの存在のおかげで、今日のような素晴らしいコーギーを見ることができるのです。あなたの愛犬のクオリティーをスタンダードと比べて、長所と欠点を知りましょう。

スタンダードに近いコーギーって、どこで会えるの?

スタンダードを目で理解するためには、大きなドッグショーを見学してみましょう。スタンダードに近いコーギーをたくさん見ることができ、スタンダードというものがどういうものか分かると思います。
自分の愛犬のクオリティーはどうしてもひいき目に見てしまいがちです。
クオリティーを客観的に判断してくれるのがドッグショーで、チャンピオンになるということは、そのクオリティーを認められたということです。
繁殖するのはチャンピオンになってからにしましょう。
「うちのコいい線いっている!」と思うあなた、オーナーハンドラーでドッグショーにチャレンジしてみませんか!

繁殖してはいけない場合

下記に示すような望ましいクオリティーを大幅に外れたコーギーは、繁殖には適しませんが、愛情に応えてくれる愛しい愛犬であることになんら変わりはありません。

フラッフィー(長毛) 毛が非常に長く、耳のまわり、胸、脚、足、腹部、後脚部には羽毛のような飾り毛がある。
上毛だけのシングルコート。
ミスカラー
(ミスマーク)
定められたところ以外に白がある被毛。
キ甲(背中の肩甲骨間の隆起の上の最も高い点)と尾の間の背面、肘と膝を結ぶ線より上の側面、後脚部背部、耳に白が入ってはならない。 トライの黒のコートに、タンが入らない場合もミスカラーである
ホワイトリー
(白のコート)
ボディカラーが白で、レッドや暗色の模様がある。
ブルーイー コートの色にはっきりと青色やくすんだ色が混ざる。この色のコートの場合、極端に明るい目や青い目、暗紅色やグレーのアイライン、鼻、唇になることが多い。
ボタンイヤー 前方に折れて垂れた耳
ローズイヤー 後ろに折れた耳
ドロップイヤー 垂れ耳
オーバーショットバイト 上顎が前にかぶさった噛み合わせ
アンダーショットバイト 下顎が前にでた噛み合わせ
オーバーサイズ 極端に大きすぎる。
アンダーサイズ 極端に小さすぎる。

断尾について

AKCのスタンダードでは断尾をすることが定められています。イギリスや日本のスタンダードでは尾は「短く、ナチュラル」と記載されていますが、現在のコーギーの大半に断尾が行われています。ヨーロッパでは動物愛護団体の強い圧力で犬の断尾や断耳を禁止する法律ができたため、ヨーロッパ大陸では尻尾のあるコーギーが見られるようになりました。イギリスではブリーダーの断尾は禁止されていますが、獣医師による断尾は許可されています。長い時間を掛けて作り上げられてきたコーギーのスタンダードである尻尾のないお尻はコーギーの最大の魅力の一つです。純血種そのものが人間との共生に都合の良いように作出されてきたわけですから、犬種の特徴的な部分が否定されることは犬種全般が否定されるような気さえします。日本、アメリカ、オセアニアのブリーダーには尻尾のない可愛いお尻をぜひ守って欲しいものです。

  

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